スティーヴ・ハケットといえば元ジェネシスのギタリストとして有名なお方だが、そのハケットが96年に制作したのが"GENESIS REVISITED"、ハケットが在籍していた頃のジェネシスの曲を再アレンジ・再演奏したものである。
「ジェネシスなんてフィル・コリンズのポップスバンドじゃ~ん」などという大間違い(80年代以降はそうだけど)を口にしていた私がなぜGENESIS REVISITEDにたどり着いたかというと、そりゃーJW(ジョン・ウェットン様のこと。面倒になってきたので表記を変えます)のおかげでございます。JWはこのアルバムで"Watcher of the Skies"と"Firth of Fifth"という2曲に参加しているが、その2曲、特にWatcher of the Skiesのヴォーカルの素晴らしいこと。さっすがJWよね、このすんばらしいベースラインも絶対に彼だわっ…と思ったら、なんとベースはトニー・レヴィンでした。ブラフォードとのリズム隊、素敵です(ちっ)。
"THE TOKYO TAPES"と名づけられたこのアルバムは、ジェネシスの曲&ハケットのソロ曲を中心とした東京でのライヴ盤である。このライヴは「ベーシストとしてのジョン・ウェットンが見せた最後の輝き」とJWファンの間では伝説となるくらい、ベースもヴォーカルも極上のものだったらしい。確かにyoutubeで見たFirth of Fifthの演奏やWatcher of the Skiesの声は、アルバム以上に冴えている。特にFirth of Fifthでのベースはアドリブ的なフレーズも交え、「やはりあなたは歌手ではなくてベーシストだったのですね(はあと)」といいたくなるような素晴らしさ。ハケットの泣きのギターの裏で、JWのベースは控えめながら(もう爆音は卒業ですな)アクティブに動き回っている。やっぱり彼はこれでなくちゃねぇ。
というわけでワクテカしながらTHE TOKYO TAPESを聴いたのだが…ほんとに輝いていましたとも>JWのベース。体型も太めになったとはいえ、現在の状況からするとこの頃はまだ正視に耐える太り方だし。
JWの名曲Battlelinesは、残念ながらオリジナルの方がよろすい。ジュリアン・コルベットのキーボードがなんか東洋調で、変なんだけど。まさか東京だから東洋調にした?わけないよなあ。声もChasing the Dragonのときのほうが、はるかによかったんだけど。ちなみにこれはスティーヴ・ハケット&フレンズのライヴである。そこで自分のソロ曲を演奏するJW、それでいいのか(w おまけに「キミタチサイコダヨ」のお言葉、ドン引きしたのは私だけではあるまい。JWがらみではHeat of the Momentも演奏したが、これはプログレ小僧のマストアイテムであるゆえ、許されるだろう。
イアン・マクドナルドのフルート、なかなかいいです。彼はWatcher of the Skiesではキーボードでベースパートを弾いたりしてマルチぶりを見せているが、さすがのJWもあの怒涛のシンコペーションを弾きながら歌うのは無理ってものですかね。「宮殿」は先日のエイジアのライヴでも演奏されているが、JWヴォーカル版の方が私好み。I Talk to the Windはオリジナルのレイクの声がいいかな。JWだと演歌だよ、こりゃ(w
プログレ巧者たちの演奏するライヴはオリジナルよりもあっさりめでさらっと聴ける、軽いプログレに仕上がっている。と言っても手抜きは全く無しの高レベル。一聴の価値あり、ということで星5つ。Los Endosなんかはもうちょっとアップテンポでやってほしかったけど、これもまあ許容範囲。でもBattlelinesの出来が悲しかったので、JWファンとしてはちょっとマイナス。
70年代ジェネシスを聴くきっかけにはちょうどよいかも…というわけで、私もついに70年代ジェネシスを聴いている。つーか、今までなんで避けていたんだと自分に言いたい(爆)