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KEITH EMERSON BAND featuring Marc Bonilla

やれ「愛しのウェットン」だの「トニー様のキーボードが好き」だのと書きちらかしていても、私にとってキース・エマーソン以上のミュージシャンはいない。鍵盤楽器の神様のような存在である。強いて言うなら、それ以上の存在はバッハとベートーヴェンくらいか。
その御大キース・エマーソンの新譜がリリースされたということで、即ゲット。当然初回限定版のDVD付きである。

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アルバムジャケットには燃えているハモンドオルガンが1台。ブックレットのページをめくると、いきなり黒焦げになった鍵盤の写真である。見開きの右ページには、まさに燃えている最中のグランドピアノをバック立つ、御大とマーク・ボニーラ。やるなあ、御大。
な、なんとCDケース内にはその燃えている最中のグランドピアノを弾く御大のお姿。キターーーー!!!
その昔はライヴでハモンドオルガンを振り回し、ナイフを鍵盤に突き立て(日本公演のときは日本刀)た彼である。燃えるピアノを弾く彼の写真を見て「御大、健在!」とうれしくなったのは私だけではあるまい。
使用楽器を見ると、グランドピアノ、ハモンドC3、Moog Moduler System、KORG OASYS(トニー・バンクスもこれを愛用)、パイプオルガンと書いてある。いやあ、期待でワクテカ状態。

CD収録時間は50分少々、と最近のアルバムにしては大変潔くてよろすい。LP時代は片面23分しか入れられないので、EL&PのKarn Evil #1はPart1とPart2に分けなければならないという妙な事になったが、最近はもうちょっと曲を減らせばいいのにと思えるアルバムが多い。ASIAのPHOENIXなんてあと2曲ぐらい絞ればきりっと締まりのあるアルバムになったのに、と思うのだが。
曲数は19曲と多いものの、そのうち15曲はずっとつながった組曲。つまりTARKUSみたいな感じですね。といっても30秒から5分くらいの小曲をつなげた感じ。Tarkusよりは散漫な印象かな。

出だしはアコースティックピアノ(Endless Enigmaみたいな感じ)、次はパイプオルガン、お次はハモンド・・・と御大の鍵盤技炸裂。4曲目のMiles Away Pt.1でやっとマーク・ボニーラのヴォーカルが登場するが、この人は声も姿も劣化したグレッグ・レイクみたいだ(ww いや、90年代のグレッグ・レイクより、声はいい。70年代前半のグレッグの声は「美しい」の一言だったからねえ。
途中でMiles Away Pt.1のようなバラード調の曲を挟みながら、組曲は15曲目のFinaleまで速いテンポの曲が並び、御大のキーボードも冴えまくり。でもねえ、1曲だけ「はあ?」と言いたくなる曲が。それが9曲目のMarche Train。ホルストの「Jupiter」の引用はないだろうよ。Jupiterですよ、Jupiter。一気に萎えた・・・。この曲は御大の趣味じゃないと思うんだけどなあ(やっぱり御大にはコープランドやバルトークが合っている)。で、Marche Trainはすごーく普通なハードロックなんですな。やっぱ違うよ・・・。

で、おまけDVDがまたよろしい。このアルバムのメイキングネタと、2006年のキース・エマーソン・バンドのライヴが入っているのだが、どちらも永久保存盤決定。アルバムジャケット用にピアノを燃やしたときの映像も入っているし。ライヴ映像ではLiving SinやBitches Crystalといった刺身のツマ的な曲を演奏していたが、このバンドでハードロック調になると、すごくいいですな。刺身のツマじゃなくなります(特にBitches Crystal)。
それにしても、もうすぐ64歳の御大、若すぎ。そりゃあ顔は昔に比べてふっくらしているものの、メタボとは無縁の体型、そして演奏。やっぱり若いカノジョのおかげですかねえ(JWは?)。

キース・エマーソンという人は曲のモチーフを次から次へと生み出すのだけど、それをうまくまとめる人間が不可欠で、EL&P時代にはその役目がグレッグ・レイクだったわけだ。御大もそれをわかっているので、人間的には大嫌いだったかもしれないが(w、彼に一目置いていたのだと思う。だからEL&Pは10年も続いたのだし、その後もエマーソン・レイク&パウエルや再結成なんてことをやったのだろう。
今回のアルバムではその役目を負ったのがマーク・ボニーラだったわけで、グレッグほどではないにせよ、御大の持ち味を上手く生かしている。ただねえ・・・やっぱりグレッグとカール・パーマーは偉大だったよ。彼らと3人ではJWが言うところの「chemistry」が起こったわけで、マーク・ボニーラ以下のメンバーだと「うまくまとめたな」で終わってしまっている。まあ、いいんですけど。キース・エマーソン・バンドだし。

ちなみにこのバンド、10月に来日する。当然行きます!と言いたいところだが、東京が水・木曜、大阪が月曜というウィークエンドに全くライヴがないという日程のため、涙を呑んでしまった。先日行われたモスクワでのライヴのセットリストを見ると、新曲と昔の曲が半分ずつらしい。しかもTarkus全曲演奏・・・本当に泣きそうだ(涙)
日本では週末に観光でもするんですかねえ。Mariさん、これを見ていたら土曜日にもライヴをやってがっつり稼ぐよう、御大を説得してください。そしたら北陸の片田舎から駆けつけますので(見ているわけないって)。

個人的な評価は★4.5。減点0.5部分は、個人的なわがままですな。例えば・・・マーク・ボニーラには悪いけど、ギターはもうちょっと引っ込めてもいいっす。7曲目のフーガをもうちょっと聴きたかった・・・Endless Enigmaのフーガくらいやって欲しかったなあ。Prelude to a Hopeはエリック・サティ調すぎ(左手の伴奏部分が・・・)。曲はいいんだけどね。限定版DVD、見ているとまた鍵盤モノを弾きたくなる。困った。アコースティックピアノが欲しくなったではないか(ww ついでに言うと、これも欲しい(爆)
キース・エマーソン好きにはお勧め。御大、いまだに健在です。

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