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CHOCOLAT

明けましておめでとうございます。今年もよろしくです。昨晩ケーブルTVで「ショコラ」見ました。いやー、良かったです。仰々しいハリウッド映画が苦手で、ミニシアターで上映されるようなものが好み、という私の趣味にぴったりの映画でした。ラッセ・ハルストレム監督の作品は「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」しか見ていないのだけど、相変わらず心にしみじみとくる世界を作っています。ちなみに「ギルバート・グレイプ」と「サイダーハウス・ルール」もこの監督の作品で、ずーっと見たいと思っていたのですが、絶対に見なければと決心(サイダーハウス・ルールはアーヴィングの原作なので、そっちの方も期待)。てなわけで、これ以降は少々ネタバレです。ご注意を。

古い因習と戒律に縛られたフランスの小さな田舎町。そこにジュリエット・ビノシュ扮する謎の親子がやってきてチョコレート屋を開き、街の人々の心をも開かせていく…という「なーんだ、ありたきりじゃん」と言いたくなるようなストーリーですが、ハルストレム監督の手にかかると、そういう言葉が出なくなっちゃいます。
この因習を人々に守らせているのは教会及びその説教で、西洋(だけではなく世界のほかの地域でも)における宗教の影響とはすごいものだな、としみじみ。ここらへんは日本人以外?ならピンとくるのでしょうが、日本人である私にとっては「ほへー」という感じ。この映画でも「教会へ行かない」ということが、村のコミュニティから外される条件の一つになっています。やはり他の国へ行って「無神論者」というのはやめようね(でも仏教徒と言うと、いろいろ聞かれる可能性大)。
中世以降の日本において人々の心を統治していたのは宗教ではなく「サムライ魂&武士道」であったわけですが、サムライスピリットもなく、宗教もなく…だと、現在の日本のように「自分がよければ周りはどうでもいいの」なんていう大間違いな個人主義?がまかり通ってしまうのでしょうか。でも思想や宗教は一歩間違えば全体主義やなんとか原理主義に走ったりしてしまうわけで、そこらへんの兼ね合いがなかなか難しいものですだ。
ところで、これはアメリカ映画であるというのを知って、結構驚きました。というのも、そこらへんのアメリカ人が「美味しいものを食べて心を動かされる」ことがあるのだろうか?と思ったからです。私の知り合ったアメリカ人は「料理なんてクリエイティブでもなんでもない、時間の無駄」なんて平気でのたまう人達でしたからねぇ。自分がどのような物を食べ、作ってきたかというのは、自分を構成する重要なファクターだと思うのですが、それは単に私が料理好きだからでしょうか?ま、舞台がフランスだからいいか。

こういう映画は人物設定がきっちりしているので、役者もそれなりのものを要求されると思うのですが、みなさんいい味出しています。ただ、主役のジュリエット・ビノシュはミステリアスな雰囲気がよかったものの、演技は「こんなもんかい」。ジュリエット・ビノシュって演技が上手いのか否か、よくわかんない人です、はい。DVダンナから逃げ出してチョコレート屋で働き出す女性を「どっかで見たことあるぞ」と思っていたら、レナ・オリンでした。ジュリエット・ビノシュとレナ・オリンといえば、「存在の耐えられない軽さ」ですね。レナ・オリンの演技はサビナお姉さまの役も良かったけど、今回も大変よろしかったです。どうでもいいことですが、レナ・オリンってハルストレム監督の奥さんだそうで。で、おおっ、かっちょええーと思ったヒッピーの若者は、ジョニー・デップ。うーん、やはりギルバート・グレイプを見よう。なんとジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが共演という、今では信じられないようなキャストですから。でもハルストレム監督作品なのよん(笑)

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