心地よく秘密めいた場所
久々に試験・仕事ネタ以外の本を読む。数年前エラリイ・クイーンを読み倒した時期があったが、この本は読まずにマイブーム終了となっていた。というのも、この本は既に書店から消滅しているからで、古本漁りをしないと手に入らないからである…と思う（ちょっと弱気）。
そういえば図書館の蔵書をチェックしたことはなかったなあ、と調べてみたら、あるじゃないですか。というわけで、早速お取り寄せ。1984年発行の崩壊一歩手前の文庫本が手元にやってきた(^^;
これはクイーン最後となった作品だが、その割には評価がイマイチである。確かにイマイチだった。時間の流れを妊娠に例えたのは、なかなかしゃれているのだが。ってことは、タイトルの「心地よく秘密めいた場所(The fine and private place)」というのは、胎内を指しているのだろうか？
だいたいにおいて、私はエラリイパパとの親子漫才(?)が嫌いなので、エラリイパパが登場した時点で減点。従って、初期の「国名シリーズ」は好きではない…とこれは個人の好みの話。
今回の作品は「国名シリーズ」のようにトリックものではないし、かといってライツヴィルもののような人間関係その他の深さもあまりない。ちょっとあっさり書きすぎているのではないだろうか。もうちょっと話をふくらませると、深みのある話にできたのでは…。
犯人が警察にいくつも手紙を送るのも動機が弱すぎるような気がするし（だって放っておいても「あの2人」に警察の目は行くだろう）、動かされたテーブルの謎は何だったんだよ？と言いたくなるし。テーブルから国名シリーズパターンを予想したんだけどなあ。
そんなわけで、クイーン最後の作品は★2つ（私の評価・★5つが最高）。でも一応「最後の作品」を読んだということで満足すべきか。
コメント
うーん、実質的な最後の作品は「最後の一撃」だと思おうよ。最近はクイーンよりはイネスとかマーシュとかミッチェルが面白いと思うぞ。
投稿者: なおき | 2006年02月28日 23:22
「盤面の敵」以降は執筆者が違うんですね。知らんかった。
投稿者: しづ | 2006年03月02日 07:41
ああ、でも最後の「顔」と「心地よく秘密めいた場所」はまたダネイとリーなんですが、ちょっと衰えた感じはいなめないっす。もし興味あるなら前にBlogで書いた「エラリー・クイーン パーフェクトガイド」が増筆されてぶんか社文庫になったので、それはあったほうが楽かもしれませんぜ。おいらも探さなきゃ。
投稿者: なおき | 2006年03月02日 09:06
うん、確かに衰えたという感じ。それに比べると、クリスティーの晩年の作品は、私的に大変よろしいっす。「エラリー・クイーン・パーフェクトガイド」はアンケートとかが載っていたので引いちゃったのですが、やっぱり「一家に一冊」ですかね（大げさ）。今度探してみよう。
投稿者: しづ | 2006年03月03日 23:18
修正：「顔」と「心地よく秘密めいた場所」の間には「最後の女」もあったねえ。これもちょっと弱いなあ。
「エラリー・クイーン・パーフェクトガイド」の文庫版買ってきました。イラストや漫画的な部分は消えて本当のガイドになっています。これは一家に一冊です。アンケートも作家の好みや、だからこいつは。。。的な読み方もできるのでおもしろいっすよ。
投稿者: なおき | 2006年03月05日 14:59
ほほぅ、一家に一冊ですか。こんどimagineで探してみます。確定申告が終わらないと読む体勢にはなれないけど。
投稿者: しづ | 2006年03月07日 21:17