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VOICE MAIL / John Wetton

この秋~冬にマイブームのジョン・ウェットンだが、ソロアルバムを聴いて更にどっぷり嵌ってしまった。前回のblogでは不敬にも「トン様」などと体型を揶揄するような呼び方をしてしまい、申し訳ございませんでしたぁぁ。私が悪うございましたぁぁぁぁ、と平謝りせざるを得ないくらい1990年代初めのウェットン様のお姿はカッコいい。30代(エイジアの頃)のウェットン様もそれなりによろしいが、1990年の映像などは少々太ってきたとはいえゾクゾクするくらいである(40過ぎのオトコの色気だな)。しかしこの頃、本人は酒浸りでエイジアを追い出されたのだが…
というわけで、エンドレスで聴いているアルバムがこれ。1994年に発売された「VOICE MAIL」。
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このアルバムは14年ぶりのソロアルバムということもあり、世のプログレッシャー連中は大いに期待したと思うのだが、ふたを開けてみればそこにあったのは「良くできたブリティッシュ・ポップス」だった。というわけで「U.K.再び」と期待した人たちにはいたく不評だが、私の評価は高い。というのは「ポップスとしては最高!」だからである。最近のウェットン/ダウンズもまぁいいじゃん、と思っていたが、これを聴いているとダウンズ的アレンジの仰々しさがうっとおしくなってくる。

キング・クリムゾン及びU.K.の頃、彼のベーシストとしての評価は高かったが、私がヴォーカリストとして「あ、いいんじゃない?」と思えるようになったのは、エイジアからである。我が師と敬愛するキース・エマーソンがエイジアに対し「この歳で恋愛歌ってのはないんじゃないかな」と言っていたらしいが、師の発言といえどもそれには異論を唱えたい。エイジアで「情けないオトコの恋愛歌」を歌ったおかげで、ウェットン様のヴォーカルには「オトコの色気」が伴うようになったのだ。そしてこの「VOICE MAIL」ではオトコの色気ヴォーカル全開。色気といってもデヴィッド・カヴァーデールやブライアン・フェリーのそれではない。なんつーか、ちょっと枯れかけた40代中間管理職的色気なんですな。意図的か否かはわからないけど、歌の途中でちょっと声が裏返ったり揺れたりするのだ。そこが控えめながらも(中間管理職的だし)、たまらなく色っぽい。「Hold Me Now」なんて歌詞を読んでいると「何だ、この軟弱中年男は?!」と闘魂注入したくなってくるが、ウェットン様に目の前でこんな事を歌われたら「はあ、喜んで」になりそうである。ヤバっ。
曲の方も、この人はメロディーメーカーとしてはすごいなあ、と感心するくらい、キャッチーなメロディーをたたみ掛けるように次々と並べてくる。惜しむべくはアレンジの才能に欠けることで(これはジョン・アンダーソンも同じ)、周囲にそれなりの参謀が揃えば、クリムゾンやU.K.の再来ミュージックも可能ではないだろうか。はたまた、メロディーがあっさりできてしまうので、その後の詰めが甘いのか。本人はしっかり詰めて作っているつもりだろうけど。

ライナーノーツで市川哲史氏が「ウェットンにプログレ幻想を抱えさせるのを皆やめたらどうだ。これだけのポップソングを作れる奴が、今どき一体、他に誰が居る?」と書いているが、全く同感。前回書いたようなブラッフォードとのリズム隊も熱望だが、こういうのを聴くと、当の本人はバカテクベースよりもマイクを持ってカラオケ的にやりたいんじゃないかなあ、と思ってしまう。1997年に発表された「ARKANGEL」はもっと重厚でシックだが、私としてはあくまでポップに徹したこのアルバムを推したい。まあ「噛めば噛むほど味が出る」スルメ的な音楽ではないので(プログレはスルメ的である)、飽きるのも早いかなとは思っているのだが、ポップス好き・ウェットン様の声にシビれる人間には、最高の1枚である。

ここからは戯言。
「ベース一本~片手に持って~」とロック界を渡り歩いたウェットン様だが、このお気楽さは細木和子的にいうと天王星人に違いない!と調べてみると・・・なんと彼はお気楽と正反対の位置に存在する土星人だった。ちゃらんぽらんしているように見えて、実は「孤独な世界に住む理想主義者」なんだとさ。職業運は「独創性を活かし「一匹狼」で勝負」・・・当たっているかも。
ちなみに私は表向き天王星人(ちゃらんぽらん)・裏に土星人(きまじめ)という二面性を持つ、霊合星人である。

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