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USA / King Crimson

久々にCDを購入した。いや、調べて驚いたのだが、今年はCDを全く買っていなかった。当期純利益(そんなものがあるのか?)はすべて写真関係とジョギンググッズに消えていたのである。人生にはこんな年も存在するのだ。
で、今年初めて買ったCDがキング・クリムゾンの「USA」。1975年に発売されたライヴ盤だが、長い間CD化されずにいた作品である。なんでもピアノとヴァイオリンのオーバーダビングがフリップ翁の怒りを買い、日の目を見ることが無かったとか。
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プログレッシャーは当然紙ジャケを購入。ちなみにジャケットの手は、ジョン・ウェットン様(←いつの間にか"様"づけ)とのこと。

しかし、ですよ。この強烈、いや破壊的ともいえるようなリズム隊の前に、ヴァイオリンなんて何の役に立つのかね? 自分はピアノ&ヴァイオリン弾きだけど、このような音楽の前にいくらピックアップをつけたところで「アコースティック楽器を入れるなんて無駄でしかありません」とフリップ翁に言いたい。まあ「Lament」や「Exiles」ではVnが無いと間抜けだし、あの叙情性(この時代のクリムゾンには、凶暴性と叙情性が混在していた)は電子楽器ではなかなか出せないから、という存在意義はあるのだろうが。それくらいジョン・ウェットン様(以下トン様と略)&ビル・ブラッフォードのリズム隊はすさまじく、へヴィである。スタジオ録音アルバムでも相当シビれさせていただいたけど、ライヴはそれ以上にすばらしい。
このライヴ盤が収録された後ますますリズム隊は重さを増していったため(トン様の体重ではない)、Vnのデヴィッド・クロスは脱退してしまった。フリップ翁も次作「RED」では「完全にリズムセクションが主導を握っていたので、レコーディングが苦痛だった」との言葉を発し、その後解散している。そりゃー「RED」くらいリズム隊がすごいアルバムって無いっすよ、たぶん。若かりしトン様とブラッフォードが調子に乗りすぎた感もあるが、調子に乗ったせいであんなロック史に残る名盤ができたのだから、若いっていいことだなあ・・・と言っておこう。
ちなみに1990年代に入ってからの「VROOOM」というミニアルバムでは「おっ、REDみたいぢゃないの」と一瞬ワクテカさせられたが、やっぱり違うんだよな。大体においてエイドリアン・ブリューの声は苦手なのよ。

さて「USA」はどの曲も素晴らしい出来なのだが、中でも「Asbury Park」はへヴィ・クリムゾンファンなら一度は聴いておくべきだろう。こんな曲を即興でやるなんて、すごすぎるわ。ここでもリズム隊が大暴走しだし、Vnなんてやってるの?という感じがありありとわかる。つーか、デヴィッド・クロスは即興演奏についていけなくなって、いつもおいてけぼりになっていたという世間の噂。いやー、演奏者としての立場が無いよね(爆)
「21st Century Schizoid Man」はご存知クリムゾン初期の曲であるが、つい「これってこんな曲だったっけ?」と思ってしまった。この曲の良さが初めて聴いた高校生のときから今まで全くわからなかったけど、実はこんなにいい曲だったのですね。これも暴走リズム隊のおかげだと言っておこう。

トン様もブラッフォードもその後ソロになったりバンドに加入したり、といろいろやっているが、この時代のクリムゾンのようにヘヴィなサウンドを創っていない。トン様は「4分間ロックの王様」から「ブリティッシュ・ポップスおやじ」、最近は「UK演歌歌手」になってしまったし(ベースを弾いている姿が、三味線を弾いているように見えるのは私だけか?)、ブラッフォードは1980年代以降クリムゾンにちょこちょこ顔を出しているが、トニー・レビンとのコンビでは破壊力が違う。あんなに私好みのヘヴィでハードかつ変拍子バリバリのリズムは、この2人が揃わないとできない化学反応みたいなものだろうか。
エイジアもよろしいけど、2人でユニットを結成してくれないかな。ギターやキーボードは誰でもいいけど、暴走リズム隊のインプロヴィゼイションについていけることが条件ですなあ。

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