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NIGHT AFTER NIGHT/U.K.

ちょっとプライベートでバタバタしております。といっても、全然色っぽい話ではないところが悲しいのだが。

にわかとはいえどもウェットン様ファンを自称するからには、これは押さえておかなければいけない…というのが、キング・クリムゾン解散後・エイジア結成前にウェットン様が結成したバンドであるU.K.。うーん、U.K.ねえ。実は20年ほど前に1stアルバムを聴いたことがあったのだが、そのときは「テクノポップの出来損ない」みたいなイメージを持ってしまい、私の脳内では抹殺されていたのだ。

というわけで一体何年ぶりかわからないくらい久しぶりにU.K.の1stを聴いたのだが、やはりピンと来ない。うーん、ウェットン様+ブラッフォードのリズム隊もイマイチ空振りかあ…そういえば2ndアルバムの「DANGER MONEY」は聴いたことがなかったから、ちょっと聴いておくかと聴いたのだが、これが私のツボにジャストミート。いいじゃないっすか、これ。

「DANGER MONEY」ではドラムスがブラッフォードからテリー・ボジオに変わり、ギタリストが抜けてキーボード・ベース・ドラムスのトリオ編成となっている。これが良かったんじゃないのかい。私は元々EL&Pを始めとしたキーボードトリオ好きだし、U.K.も当初はウェットン様+ブラッフォード+リック・ウェイクマンのキーボードトリオをやるつもりだったらしいから、まさしく当初の目的どおりとなったわけである。そのせいか、前作よりも方向性みたいなものがはっきりしているような気がする。しかもエディ・ジョブソンのキーボードはなかなか私好みだし、テリー・ボジオのドラムスもロックしていてよろすい。 
曲調がポップになった、とは世間の評判だが、ポップあり(Nothing to Lose)、メランコリックなバラード調あり(Rendezvous 6:02)、バカテクあり(Caesar's Palace Blues)、ドラマチック正統派プログレあり(Carrying No Cross)、とバラエティに富んでおり、しかも前作のような散漫さは無い。
Rendezvous 6:02は今でもウェットン様が好んでライヴで演奏する曲だが、ミステリアスな歌詞と曲が一致して、ステキなことこの上なし。スターレス高嶋が某番組でプログレの条件である「バカテク」の代表曲としてCaeser's Palace Bluesを挙げたらしいが、確かにむずい。最近エディ・ジョブソンやデヴィッド・クロスの耳コピーなぞをやって遊んでいるが、Caesar's Palace Bluesはコピーできまへん(涙) しかも彼の場合、ヴァイオリンとキーボードの楽器持ち替えである。かっこ良すぎる。Carrying No Crossの途中のキーボードソロはキース・エマーソンを彷彿させるかのようで、まさしく私好み。
このアルバムについて驚くべきは、私にとって「捨て曲」が無いのだ。どんなに好きなアルバムでも、1曲くらい飛ばしたくなる曲があるものだが(無いっすか?)、そういう曲がこのアルバムには無い。
そんなわけで、「DANGER MONEY」は今日現在の「無人島へ持っていく10枚のアルバム」リストにめでたく入りました。おめでとうございます。

延々と「DANGER MONEY」のよさを熱く語ってしまったが、U.K.はもう一枚ライヴアルバムを発売してから解散している。あの伝説のMCも含めてこれは手に入れておくべきでしょう、と金沢じゅうを駆け回ったが…無い。またネットでポチッかよーと思っていたら、なーんと紙ジャケ新品を某レコード屋で発見。すかさずゲットでございます。
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これは1979年に来日したときのライヴだが、たった3人で演奏してもスタジオ録音と遜色ない出来栄えである。すんばらしい。
ウェットン様の声にはまだ色気が無いが、声量・声の伸びともなかなかである(来日中はインベーダーゲームに熱中して、酒を飲まなかったのだろうか)。エディ・ジョブソンのVnとKeyは相変わらずステキ。とにかく女の子には人気があったそうだが、透明エレクトリックヴァイオリンとキーボードを持ち替えながらこんなバカテク曲をさらっとやってのけていたら、私もキャーキャー言っただろうなあ。ライヴでは途中で走ったり(テンポがだんだん速くなっていくこと)するものだが、彼らは走ったり間延びしたりせず、きっちりと精度の高い演奏をしている。さすがにここではウェットン様もベースにファズをかけてブリブリさせるなどということはせず、エディのキーボードを生かすようにしているようだ。大人ですね。
これではウェットン様がエイジアから始まるポップ路線ひた走りになったとき、世の中のプログレッシャーががっかりしたわけがよくわかる。でもクリムゾン時代もUK.もエイジアもウェットン/ダウンズも、すべてジョン・ウェットンなのだ。あの音を、あの音楽をもう一度!と言っても仕方が無い…と自分に言い聞かせたりして。
「DANGER MONEY」と「NIGHT AFTER NIGHT」については、私が彼らにあのMCを言いたい。「キミタチ、サイコ(最高)ダヨ」と。

蛇足だが、私はこのMCについて「エイジア・イン・エイジアでグレッグ・レイクが言ったMC」だと20年近く思い込んでいた。あまりあちこちで吹聴した記憶は無いが、ひょっとして偉そうに誰かに言ったかもしれない(爆)

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