心地よく秘密めいた場所
久々に試験・仕事ネタ以外の本を読む。数年前エラリイ・クイーンを読み倒した時期があったが、この本は読まずにマイブーム終了となっていた。というのも、この本は既に書店から消滅しているからで、古本漁りをしないと手に入らないからである…と思う(ちょっと弱気)。
そういえば図書館の蔵書をチェックしたことはなかったなあ、と調べてみたら、あるじゃないですか。というわけで、早速お取り寄せ。1984年発行の崩壊一歩手前の文庫本が手元にやってきた(^^;
これはクイーン最後となった作品だが、その割には評価がイマイチである。確かにイマイチだった。時間の流れを妊娠に例えたのは、なかなかしゃれているのだが。ってことは、タイトルの「心地よく秘密めいた場所(The fine and private place)」というのは、胎内を指しているのだろうか?
だいたいにおいて、私はエラリイパパとの親子漫才(?)が嫌いなので、エラリイパパが登場した時点で減点。従って、初期の「国名シリーズ」は好きではない…とこれは個人の好みの話。
今回の作品は「国名シリーズ」のようにトリックものではないし、かといってライツヴィルもののような人間関係その他の深さもあまりない。ちょっとあっさり書きすぎているのではないだろうか。もうちょっと話をふくらませると、深みのある話にできたのでは…。
犯人が警察にいくつも手紙を送るのも動機が弱すぎるような気がするし(だって放っておいても「あの2人」に警察の目は行くだろう)、動かされたテーブルの謎は何だったんだよ?と言いたくなるし。テーブルから国名シリーズパターンを予想したんだけどなあ。
そんなわけで、クイーン最後の作品は★2つ(私の評価・★5つが最高)。でも一応「最後の作品」を読んだということで満足すべきか。