パリ管弦楽団を聴きに京都へ(その2)

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ラヴェルのピアノ協奏曲のあとは20分の休憩。その間に舞台の方もピアノを引っ込めて、幻想交響曲に向けてのセッティング である。
その様子を10分くらい眺めた後にそろそろ空いているかなとトイレへいったのだが、まだ目が点になるくらいの長蛇の列が続いている。どーなってんの? と思ったのだが、どうやらトイレの場所が少ないらしい。
外観凝らなくてもいいから、トイレの場所増やせよー!と心の中で叫んでも時遅し。仕方なく客席に戻る。

休憩の後はメインの幻想交響曲。
この夏10枚くらい聴いたのだが、それで思ったのは、

・第1楽章、第2楽章が上手いオケは、第4楽章、第5楽章がつまらない。逆もまた真なり。前半の優雅さ(第2楽章)と後半の狂気は同居できないらしい。

・第3楽章がつまらない演奏が多い。つまらないと、すぐに飽きてしまうのは私です。

・第5楽章の鐘が、けっこう重要。ライヴだとずれたりして、興ざめのことも多し。

・ベルリオーズ自身は第5楽章のテンポ設定をそんなに速くしていなかったはず。しかし第5楽章は魑魅魍魎の宴ゆえ、お上品にやってはいかん。といっても、ノリにまかせたぐちゃぐちゃな音は却下。美しい音でイッちゃってる、というハイテクニックを私は要求するのだ。

後半出てきたメンバーをざっと見渡すと、コンマスは交代し、オーボエも首席のお兄さんがいない。あれ?これって第3楽章のコールアングレとオーボエが結構重要じゃん...首席が吹かないの?...と思ったら、こういう事だったらしい。

パーヴォ・ヤルヴィが登場し、幻想交響曲が始まる。それはそれは最初の音からお見事でした。前半、特に舞踏会のシーンである第2楽章の美しいこと。個々の奏者が恐ろしく上手いこともあるが、それをうまくまとめてあるなあ、と。
私にとっての鬼門の第3楽章も、飽きることなく聴くのに集中(私はクラシックのリサイタルで結構寝るのだ)。てか飽きさせないよね、この演奏。第3楽章終わりごろ、冒頭でのコールアングレとオーボエのフレーズが再現するところで、もうゾクゾクですよ。たぶん腕に鳥肌たっていたと思う。コールアングレ、オーボエにスネアのロールが入ると「さあ、これからだ。これからだわっ」とワクテカの鳥肌w

いやー、交通費使って京都に来たかいがありました。もう細かいことなんてどうでもいいです。彼らの出す音に飲み込まれつつも、もう一音たりとも聴き逃すまいと、こちらも今まで以上の真剣勝負。特に第5楽章のRonde du Sabbatからは、これでもか!という感じの怒濤の音が繰り出され、そのままラストになだれ込み。多分、全身鳥肌状態だったと思うね、おいらは。
終わると同時に割れんばかりの拍手と、ブラヴォーの嵐。いやー、ほんとにブラヴォーだったわ。これがアメリカなら、全員スタンディング・オベイションだろうけど、残念ながら、ここは日本。皆おとなしく座っておりました...が、サントリーホールではスタンディング・オベイションだったらしい。
サル・プレイエルでもやっているみたいだけど、演奏が終わって何回か客席からのコールに応えたあと、オケメンバーとパーヴォが後ろ側にいる私たちの方を向いて挨拶したのはうれしかった。おいら、ほんとに感動したよーー!

アンコールはビゼーの「アルルの女」から「ファランドール」とパーヴォの得意技、シベリウスの「悲しきワルツ」ファランドールの迫力のある音もいいけど、悲しきワルツの薄いppの音がこれまたよかった。メシアンでも思ったけど、ppがほんとに美しいんだよねえ。弦楽器上手いー(当たり前だ)。

東京では一般参賀やらサイン会があったそうだが、京都は無かった模様。福岡ー京都ー翌日・宮崎という謎かつハードスケジュールだもんね。そんな余裕はありませんってか。
私の方も高速バスが京都駅を出発するまで、あと1時間。慌てるほどではないが、そんなにのんびりする暇もない。頭の中に残る幻想交響曲の残響を楽しみつつ、京都駅へと急いだ。

(まだ続く)

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このページは、しづが2011年12月 3日 21:44に書いたブログ記事です。

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