第319回オーケストラ・アンサンブル金沢定期公演

以前予告したとおり、OEKの定期公演へ行ってきた。プログラムはアッテルベリの「ヴェルムランド狂詩曲」、ヒンデミットの「4つの気質」、シューベルトの「交響曲第２番」という、どこから見ても渋いプログラム。

４月半ばはそろそろ忙しくなって来る頃なのだが、この日も例外ではなく、音楽堂にたどり着いたのが開演時刻５分前。で、廻りを見渡すと...入りが悪いぞ。前を見ると７割、全体では６割強といったところか。このプログラム、売りの曲がないもんなあ。私にとってはヒンデミットが大売出しだと思うのだが（これは滅多に聴けないと思う）、聴きたい人は金沢にそんなにいないということか。

で、1曲目はアッテルベリ。おお、CDよりははるかにいいではないか。音がすごく立体的に聴こえるような気がするんだけど。座席のせいなのか、はたまた広上さんに鍛えられた成果なのか。そう、今日の指揮者は井上ミッチーではなく、広上淳一氏。ええ、初の広上体験ですよw 

座席だが、今日はホールのほぼ真ん中という特等席？である。iPadビンボーでもあることだし安い席のにしようかな~と思っていたのに、レセプションのお姉さんに「1階の真ん中が空いていますよ」と言われ、ホイホイと買ってしまったのだった。

しかしアッテルベリ、なんとなく郷愁をそそられるような音楽で、いいですね。特に弦楽器の曲がたまらん。琴線に触れるとは、このことかと。

でワタクシ的には今日のメイン、ヒンデミット。ピアノは河村尚子さんなんだけど、普通ソリストを北陸の片隅に呼んで、この曲をやらんわなw しかし、この人上手いー。オケもCDで聴くよりもいいよーん。CDたって、サロネン／ロスフィルしか聴いていないんだけどね。そりゃあロスフィルの方が精度は高いし、ラストのコーダは「もうちょっとまとまった音にならんのか...」だったけど、その他はほとんど気にならなかったなあ。曲を思いっきり堪能したって感じですかね。観客が少ないのも、よかった。終わってすぐにブラヴォーの声もあったし（OEKの定期でブラヴォーなんて聞いたの初めてだ）。

この曲の3曲目（というのか？）は各弦パート首席＋ピアノなんだけど、ヴィオラには見慣れない大柄な外国人おじさんが座っている。誰だろ、エキストラとして呼んだのかな、と思っていたら、このおじさんの上手いこと。テクニックがどうこうではなく、ヴィオラってこんな音が出るのか！と驚愕するくらい、音が美しい。もちろんLFJ金沢で聴いたイザイSQやライプツィヒSQはたまげるくらい美しい音だったけど、オーケストラの一員でこんな音を出す人がいるとは。家に帰ってプログラムから調べたところ、なんとクレメラータ・バルティカの首席だった。またまたびっくり。

前半でお腹いっぱい、後半はもういいよと思ったりもしたのだが、せっかくなので聴くことにする。しかしですねー、シューベルトの2番って、おいら嫌いなんだよっ！同じ主題を何回繰り返せば気が済むんだよっ！シューベルトってこんなパターンが多いんだよな...。しかも第２楽章は主題→変奏という、お決まりのコース。「４つの気質」も主題→変奏なんだけど、どうしてこんなに違うのかと（飽きる、飽きないという点で）。

広上氏の指揮も、前半に比べて「うむむ...」と感じたのは、私だけだろうか。偉そうなことを書いているけど、この曲もムーティ／ウィーン・フィルの1枚しか聴いていないんだけどね（汗）

演奏が終わってから盛大な拍手に応えて登場した広上氏がラ・フォル・ジュルネ金沢の宣伝なんか言ってる。あれ、広上さん振るんだっけ？と思ったが、プログラムに名前がない。関係の無い彼に宣伝させるくらいチケットが売れてないんだろうか、と心配になってしまった。スクリャービンのピアノ、聴こうかな...。

実は私がピアノを習っていた頃、最後にレッスンでやったのがスクリャービンの前奏曲だった。どういう曲なのか全く理解できず、譜面と同じ音をただ鳴らしているだけ...という状態だったので、今聴いたら何かわかるかもしれないと思ってw

話が逸れたが、「これだけ喋ってそのまま帰る、はマズいですよねえ」と定期公演にしては珍しくアンコールを演奏してくれたが、それはシューベルトの交響曲第2番の第2楽章...これは罰ゲームっすか？w

そんな訳で前半だけで満足の定期公演、後半もそれなりにディープな曲をやってくれれば...と考えたが、そしたらもっと客の入りが悪くなるかもしれないしね。ある程度知名度のある作曲家（今回はシューベルト）を持ってこないとね。客が入ってナンボの世界は辛いですなあ(-_-;;