ラ・フォル・ジュルネ金沢2012(その2)

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翌日・5月4日は小雨。金沢駅周辺は混んでいるだろうから、バスで行くか...と思ったのだが、甘かった。すごーーーく甘かった。
バス停で待っていても、バスが来ない。仕方なく車で駅に向かうと、途中から大渋滞。うまく裏道を抜けて駅についたものの、今度は駐車場がない。いつも停めているところはどこも長い列。絶対に地元民しか知らないような細い道沿いにある駐車場も一杯。探しまわって、駅からかなり離れたところに空きを見つけ、そこからは走るハメに。疲れた。

で、今日はイーヴォ・ポゴレリッチ。ポゴレリッチですよ、奥さん!ポゴレリッチが3,000円ですよ!! 曲はラフマニノフのピアノソナタ第2番、バラキレフのイスラメイ。ラフマニノフは全然聴いたことがなかったが、CDで予習した。イスラメイは激ムズ曲として超有名な曲で、これを生で聴けるとはありがたや...である。おまけに当日曲が変更とのことで、ショパンのノクターンOp.9-2が増えた。えー、9-2?ベタやなあ...といいつつ、曲が増えるのは嬉しい。
で、気合を入れたポゴレリッチのリサイタル、はっきり言ってすごかったっす。何がすごいと言って、あまりに遅くて何の曲を弾いているのかわからないんですよ。これ本当。終わったあと一緒に行った友人と顔を見合わせて「あの曲、ラフマニノフ?じゃなかったよね...(爆)」だったもん。私がわかったのは、最初の下降音形と最後だけw 友人は楽章の変わり目がわかったらしいが、私はそれすらわからなかった。
ついでに言うと、最初の曲はショパンのOp.9-2でないことだけしかわからず。何の曲や、これーと思っていたのだが、Op.48-1だったらしい。うちに帰って確認してしまったよ。
イスラメイは少し遅目のスピードだったのだが、中間部は相変わらず激遅で、何の曲すかこれ?状態。しかしポゴレリッチ追っかけによると、これは許容範囲らしい。追っかけには許容範囲でも、フツーのクラシック好きには全然許容範囲じゃないです。ネタとして永年保存するけど、もう金を出して聴こうという気はしない。原曲が分からないくらいに好き放題するのなら、ご自分で作曲された曲を弾けばよろしいのでは?
そうそう、ffをトンデモな爆音で弾いていたけど、音はきれいでした。耳が痛くならなかったので、許す(爆)ちなみに譜面見ながら弾いておりました。

これでは後味がいまイチなので、最終日のスクリャービンも買ってしまった。これはスクリャービンが亡くなる18日前に行ったリサイタルを再現したものである。ピアノはジャン=クロード・ペヌティエ。
場所は邦楽ホール。邦楽ホールでカルテットは聴いたことがあるが、ピアノは初めて。ここはちょっとねえ...。
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だって提灯下がってるしw ピアノが1音鳴った瞬間「こりゃダメだ」。全然ピアノの音が響かないのね。いわゆる「デッド」な音場ですよ。

小太りのおじさん(失礼!)が出てきて楽譜をピアノの譜面台に置いたときに気がついた。この人、2年前にショパンの協奏曲を弾いた人じゃない?
で、この公演、スクリャービンの曲を全く知らずに行ったのだが(自分が弾いていた曲は無かった)、かなり楽しめた。初期の頃はショパンに影響を受けたようなサロン風、それがOp.50あたりから和声などに変化があり、いわゆる「神秘主義」に傾倒していく。ソナタは別扱いとしても、小品を聴いているとだんだんと変化が分かっていき、非常に面白かった。
それにこの人のピアノ、私の好みなんだわー。全く知らない曲ばかりだけど、眠いどころか目をバキバキに開けて集中しましたわよ。「好み」ってのは不思議なものですなあ。
ラ・フォル・ジュルネにしては珍しくアンコールをやってくれたのだが、それが「月の光」。2年前と同じです。何度聴いても素晴らしいです。

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真ん中の写真は、クロージング・コンサート前の様子。また来年!(あるよね?)

夜の金沢市内を自転車で自宅へ。ふと見ると、大きな満月が。さっき聴いた「月の光」の余韻をかみしめながら、のんびりペダルを漕いだ。

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コメント(4)

遅きに失した感がありますが、先日はどうも。

私もポゴレリッチききましたけど、「何の曲を弾いているのかわからない」は激しく同意ですね。
よくテンポが遅い指揮者、たとえばジュリーニ、バーンスタイン、チェリビダッケなどは、訳知り顔の評論家なんかが、音楽が停滞している、とかいうけれど、緊張感と音楽性さえ持っていれば、それは「音楽」であることは間違いないと思うんです。
けど、あの演奏はなんだろうと今でも思います。
少なくとも、「ラフマニノフ」ではないよね。

それから、邦楽ホールだけれど、ピアノトリオとカルテットを聴いたんだけれど、デッドなことはあまり私は気にならなかったですね。
一つだけ気になったのは、「桟敷席」という、普通ならバルコニー席に当たるところにはじめて座ることになって、ちょっとビックリ。知ってる?? ここ、靴を脱ぐんですよ。
掘りごたつみたいになっていて畳がひいてあって、背もたれも座イスになっている。このスタイルには驚いた。

どもー。
あれは「解釈」とかいう概念を超越していましたねえ。私なんて「この人が ”楽譜のある音楽=作曲者の意図を読まなければならない音楽” を演奏している意義ってなんだろう?」まで考えましたから。確かに音は素晴らしいと思う。でもこれは、それ以前の段階の問題ですね。「何の曲を弾いているのかわからない演奏」なんて、意味あるの?

邦楽ホールだけど、座る場所にもよるのかもしれませんね。以前1階席でカルテットを聴いたことがあるんだけど、その時はそんなに気になりませんでしたから(要残響時間の弦楽器なのに!)。2階席は全然響かなくて、ちょっと悲しかったっす。まあ邦楽に残響時間がいるのか?と言われれば、うーんという感じですな。「播磨屋!」が響いたら怖いw

桟敷席が掘り炬燵状態とは知りませんでした。邦楽ホールも歌舞伎座や新橋演舞場と同じ作りになってるんだ。歌舞伎座はこんな感じです↓
http://www.kabuki-za.co.jp/sya/vol29.html
歌舞伎座の桟敷席ではお弁当を注文して、幕間に座席で食べることができます。昔何度か歌舞伎を見に行ったことがあるのですが、私の定番は3階の三等席でした。幕間にお弁当ではなく、持参のパンなどを食べていましたw 三等席は常連さんが多く、後ろから「成駒屋!」とか「待ってました!」との声が出てくるので、なかなか面白かったっす(・∀・)

おおーっ。
歌舞伎座はこんな風になっていたんですね。
邦楽ホールも、お茶のセット置いてくれるといいなぁ(笑)。

今日ポゴレリッチのインタビュー記事を読んだのだけど、読譜の大切さについて延々と語っていて、??でございます。

歌舞伎座でこういう所に座るには、それなりの格好をしていないとサマにならないのよね(着物とか)。それにしても、花道がバッチリ見えるというのは羨ましい。3階席は一番前の列でかろうじて見えるくらいなんだよねー。
邦楽ホールでお茶とお弁当は…無いだろうなあw

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このページは、しづが2012年5月 6日 16:54に書いたブログ記事です。

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