サロネン指揮・フィルハーモニア管を聴いてきた(その1)

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エサ=ペッカ・サロネン指揮、フィルハーモニア管弦楽団を聴いてきた。場所は兵庫県立芸術文化センター。昨年のラーンキに続く西宮への遠征である。
十分日帰りで行ける距離だし、雪が心配だから電車で往復かなーと思っていたのだが、ひょんなことから母と妹と一緒に神戸三田プレミアムアウトレットへ行くことに。前日は車でアウトレットへ行ってから三田駅前のホテルに宿泊し、翌日は別行動。妹たちは金沢へ直帰、私は芸文センターでフィルハーモニアの公演を聴いてから電車で金沢へ戻る、というスケジュールである。

お買い物ネタは別の機会に書くこととして、今回は2日目のフィルハーモニア管のお話。しかし三田駅から宝塚までの、JR福知山線の田舎ぶりに驚いたわw

今回はKOBELCO大ホール。キャパは2001席だが歌劇場としても利用できるようになっているらしい。そのため大編成オケでも乗れるくらいの舞台幅と奥行があり、シューボックス型だが1階平間にもゆるやかな傾斜が付いている。これ、なかなか見やすくていいです。
座席はほぼ満員かな。2階右側が結構空いていたから、9割くらいといったところだろうか(もしかしたら上の方は空いていたかもしれないが、自分の席からは全く見えない)。
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このホールは写真撮影に厳しいので、写したのは大ホールホワイエのここだけ。大ホール内はそれはそれはステキな内装なのだが、無断撮影不可。がっくし。

この日のプログラムは以下の通り。
・L.v.ベートーヴェン/劇付随音楽「シュテファン王」序曲 Op.117
・L.v.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 Op.58
 (ピアノ:レイフ・オヴェ・アンスネス)
                  −休憩−
・G.マーラー/交響曲第1番「巨人」

今回驚いたのは、開演5分前のチャイムでオケのメンバーがみな舞台に出てきたこと。普通は5分前チャイムで観客が着席し、開演時間になってからオケのメンバーが出てくる→コンマスが出てくる→指揮者登場...だと思っていたが、今回は多分サロネンの指揮棒が振り下ろされたのがほぼ開演時間だっただろう。
サロネン様はYouTubeやフィルハーモニア管のVideo Podcastで見るお姿そのもの。だから出てきた時には「ギャー、本物!(はあと)」だったが、指揮ぶりを見ていても「おお、まさしくいつもと同じ」という感じだった。北欧の人と思えないくらい小柄で、でもフォルテシモでは(いや、マーラーではffff?)全身を使って棒を振り下ろして。リハではアクション少なめで振っているけどね。服もいつもと同じスタンドカラーの黒。顔立ちも若々しいから、マエストロ、学生服に見えまっせw

最初の「シュテファン王」序曲、実は2〜3回しか聴いたことがなかったので「ほー」という感じ。サロネン様って「命名祝日」とか今回の「シュテファン王」だとか、ベートーヴェンの「は?なにそれ?」というような序曲がお好きらしい。レオノーレとかフィデリオとかあまり演奏しないもんねー。あ、レオノーレは録音したか(でも2番)。
あれっ、フィルハーモニアの弦セクション、こんなに上手かったっけ?サロネン様がフィルハーモニア管の音楽監督に就任して最初にリリースされたCD「幻想交響曲」は「すっごくいいんだけどさー、弦が...(以下自粛)」という感じだったんだけど。あれから4年半経ったから、サロネン流に鍛えられたのか?あの時が単にダメダメだったのか??
しかしホールの音がイマイチ...。私は1階のほぼ真ん中だったのだけど、もうちょっと残響が残るほうが好きなんですけどねえ。

お次は期待でワクテカのベートーヴェン・ピアノ協奏曲第4番。この曲、大好き。好きなピアノ協奏曲を3つ挙げろと言われたら、ランクインする曲である(あとの2つはシューマンとバルトークの2番)。
しかもピアニストは大大好きなアンスネス。アンスネスはノルウェー出身のピアニストですのよ。ちなみに一昨年のN響の「ベストソリスト」でしたのよ。あのときは演奏したのはラフマニノフの3番で指揮がブロムシュテットだったけど、オケがgdgd...(以下自粛)。アンコールでのグリーグの「ノルウェーの農民行進曲」、良かったなあ。あの後、アンスネスの弾くグリーグの叙情小曲集のCDと楽譜を買っちゃったよ。
この人の演奏は一言で言って「正統派」。人に言わせると「炊き立ての新米」って感じ。上手い言い方だ。ピカピカの米粒一つ一つが立っていて、噛めばご飯の甘みが口の中に広がり、おかずなんて一切不要。そんなピアノっす。

そのアンスネスは昨年から"Beethoven Journey"と題してベートーヴェンのピアノ協奏曲をレパートリーの全面に出している。昨年リリースしたCDは1番と3番、今年は偶数番号なのかな。
で、演奏。本当に「何も足さない、何も引かない」という感じ。派手なアーティキュレーション、アゴーギグなどは一切ないから、物足りなく感じる人もいるだろう。でもね、クラシック音楽の演奏ってのは、あくまで作曲者の楽譜有りなんすよ。ppをピアノシモで弾く、fをフォルテで弾く、一音一音が濁らないようにペダルを使う、そして作曲家がその曲の中に仕掛けたトリック(という言い方は変だけど)を読み解く...それがいかに難しいことか。
そして「ピカピカの炊き立てご飯」のような音の美しさ、くっきりさはいつもどおり。フィルハーモニアのバックもすごく良かった。そのようなアンスネスの演奏を生かした、出しゃばらない落ち着いた演奏である。サロネンがバイエルン放送響を振ったショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲のCDを持っているが、これもオケが上手いなあと思っていた。サロネン様、こういうのもお上手なのね...。

大きな拍手の中でのアンコールは、ベートーヴェンのピアノソナタ第22番の第2楽章。あー、これピアノソナタだけど何番だっけ...と最後まで思い出せなかったのはちょっと残念なワタクシw
ピアノ協奏曲が終わったら次はピアノソナタを手がけてくれないかな、と思っていたら、こんな記事を発見した。がーん、全曲は演奏してくれないのね。「好きだけど自分が弾くべきじゃない曲」もあるんだ。確かにアンスネスのラヴェルは想像つかないけど。

長くなったので、次回に続く〜。

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このページは、しづが2013年2月 4日 06:30に書いたブログ記事です。

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