アンドラーシュ・シフ リサイタル(その2)

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明後日から消費税が8%になりますねー。皆さん駆け込み買いだめですって?
そんな暇も余裕も無いわ!!(←税務・経理関係者の怒り)
休憩後は今日のメイン、ディアベリ変奏曲。ディアベリという名のおっさんが作ったつまらないワルツにベートーヴェンが手を加えると、あ~ら不思議、50分近くにもなる素晴らしい超大作になりました、というのがこの曲。今日2曲めのピアノソナタ第32番の第2楽章も変奏曲だが、元々の主題が言いようもなく美しく深い。それに比べてディアベリ変奏曲の主題!ブルグミュラーにある曲ですよ、と言われれば納得するかも(いや、ブルグミュラーはそれなりに味がある)。
しかしコドモな主題から始まって、シフは次々と変奏を繰り広げていく。音のバランスがこれまた計算しつくしているなあ、という感じで、すいすいと耳に入っていくのだ。やっぱりバッハを弾きこんでいる人はすごい。どんな変奏でも声部がはっきりとわかるので、それも音がすいすい入ってくる要因のひとつ。
まさか寝ないだろうけど、飽きるかも...と思っていたディアベリ変奏曲、気がついたら最後の変奏だった。えっ、これラストの曲じゃんと驚愕。音に集中していたら、あっという間の50分。この曲が好きになったわけじゃないけどね(爆)
やはり最後の和音の残響が消えるまで、シフは鍵盤の少し上に手をかざしたまま。しんと静まり返る客席。彼が立つと同時に、割れんばかりの拍手。さすがにシフのリサイタルに来る客は、わきまえていますなあ。

アンコールの大きな拍手とともに再び舞台に登場したシフがピアノの前に座り、弾き始めたのがバッハのゴルトベルク変奏曲のアリア。ゴルトベルク、キター! このまま全曲OKっすよ!...というはずがなく、アリアのみ。しかし全くペダル無しで、何なんですかこの音の滑らかさは。まさしくアリア(歌)。そう、シフのピアノの根底には、いつも歌が流れているのだ。
家に帰ってから1982年録音のゴルトベルク変奏曲を聴いたけど、その時とは明らかに弾き方変わってますね。というわけで、2003年録音のCDをポチり。実はゴルトベルクもあんまり好きじゃないんだよな(途中で寝ること多し)。
一昨年リリースされた平均律クラヴィーア曲集のCDのライナーノーツによると、シフはバッハの曲にいろんな色彩を感じているらしい。C-dur(snow-white)から始まって、c-mollからd-mollは黄色・オレンジ・黄土色、Es-durからe-mollは青...といった具合。ゴルトベルクはG-durだから、彼に言わせるとミドリらしい。ちなみに自分はバッハ以外にも各調性に色がついているようなイメージがあるんだけど、G-durは黄色。緑はF-dur。シベリウスはD-durが黄色だったそうな。

その後はアンコール大会w 次から次へと繰り出される珠玉のピアノの音にクラクラ。曲を書くのが面倒なので、写真をば。一週間前のサントリーホールではアンコールにベートーヴェンのピアノソナタ第30番(全曲...アンコールの曲じゃないよ(;´д`))を弾いたとのことだったのでおっそろしく期待していたが、さすがにそれは無かった。あの日のあの曲は、それなりの理由があったらしい。
20140330.jpg
この中で知らなかったのは2曲めの「ハンガリーのメロディ」。シフのシューベルトは後期ソナタ集しか持っていないけど、全集買おうかなあ。
実は5曲めのシューベルトの即興曲 D899-2(Op.90-2)は、先日デジタルピアノを買い換えてから、密かにさらっている曲。シフ様、なにもそれを弾かなくても...(汗) 「しづさん、シューベルトはこう歌うんですよ」と実地で教わったような気がしたが、その前に指が回らないし、ろくに弾けんorz
この曲では珍しく最後に大きく左手を上げるアクション付きだったので、これで最後かと思ったら、なんと今度はショパンのノクターン。えええ、この人ショパン弾くの?これ、ショパンだよね??と頭には「?」マーク連発。
シフは一人の作曲家を深く追求するタイプの演奏家なので、ベートーヴェンが終わった今、次は誰に行く?と興味深々だったのだが...。げっ、ショパンなのか、と軽く落胆。(が、お次はドビュッシーだそうです。そっち系ならラヴェルがいいな~と思ったけど、ドビュッシーならまあいいか。期待大。イギリス組曲やフランス組曲の再録は無いの?)

有名どころのピアニストの演奏はバッハやベートーヴェンをこっちに連れてきて、ついでに「自分の解釈」という名のスパイスをたっぷりふりかけて、という人が多いが、シフはそうではない。彼は私をバッハやベートーヴェン、ピアノの神様の世界に連れて行ってくれる水先案内人。いや、神様のもとに連れていってくれるから、天使かしらん。

それにしても、満足すぎて言うことなし。戻ってきてからも(こちらの世界に?)、ずっとシフのピアノを聴いている。当分クラシックは彼のピアノがあれば十分。
あー、自分の楽器の音やらオケの音、聴きたくねー(爆)

(名古屋ぶらぶら編に続く)

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このページは、しづが2014年3月30日 21:39に書いたブログ記事です。

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