チャイコフスキーはどちらかというと苦手だけれど、幻想序曲「ロミオとジュリエット」は昔から好き。ロシアものは好きなんだけど、チャイコの場合は一般のロシア風味というよりは、7日間ロシア風味を煮詰めてチャイコで醗酵させたような感じなのがつらい。そういう意味からいうとまだくどくない交響曲第1番あたりでもよいのだが、こればかりは昔から好きなので「ロミオとジュリエット」の方から書くことにする。
変に落ち着いてやられても困るし、かといってリズムが壊れても困る。緊迫の第1主題と愛の第2主題のバランスは難しいと思う。この曲を聴くと鈴木静一の劇楽「細川ガラシャ」を思い出してしまう。。。マンドリン合奏系の人にしかわからんだろうけど。この曲、プログレロック音楽風に作ってみたいんだよね。
さてヤルヴィ父子対決ではやはりおいらは父ヤルヴィのほうが好きである。BISからのチャイコフスキー交響曲の録音にはいっているが、このチャイコフスキー交響曲の演奏は、ヤルヴィがBISに録音させてくれと申し出ただけに力が入っている。なお、全集のボックスセットも出ていて珍しい曲もはいっているので、チャイコニストの方はボックスの方がよいかもしれない。でも、残念ながらSACDではないんですよね。これで分売のときと同様にSACDなら最強だったのにな。ヤルヴィ息子は、どうも加速する瞬間やテンポが変わるときのためというか、前のめりすぎのタイミングが、どうにも好みに合わなくて父の勝ち。
思い入れからいうとLPを持っていたバーンスタインになってしまう。DGの録音ではイスラエル・フィルによるものと、最晩年のNYフィルによるものがあるが、LPで持っていたのはイスラエル・フィルのもの。結構この演奏が自分の理想に近いかもしれない。この異常な切迫感がたまらんので、これも捨てられない。
NYフィルのときのものは、もうやりたいほうだいというかあちらの方にいっちゃっているというか、遅いところはひたすら遅く、速いところは激烈という、それが良い演奏もあるけど、例えばNYフィルとのこのときの「悲愴」の終楽章は17分以上という目が丸くなる。。。修行ですか。いや、でも序奏からその世界に入り込むことができれば、20分間もう音楽の神様が降りてきます。バーンスタインもDGでチャイコのボックスセットがあるのだが、それはNYフィルの方がはいっている。
カラヤン指揮のものはベルリンフィルとの1966年代録音で、こういう種類の曲はめちゃくちゃうまいんだけど、なんというか速くないところでの切迫感が足りないように思う。アレグロやアンダンテの主題の歌わせ方はとてもお上手でゴージャス感いっぱい。これは悲愴の方を聴くべきCDかな。もちろん平均点以上の演奏ですけど。録音も60年代で少し堅い。1982年の方の録音も聴いてみたいなあ。ザンデルリングのは落ち着いた感じである。
手元のCD
- ネーメ・ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団
- パーヴォ・ヤルヴィ指揮 シンシナティ交響楽団
- バーンスタイン指揮 イスラエルフィル
- バーンスタイン指揮 ニューヨークフィル
- カラヤン指揮 ベルリンフィル
- ザンデルリンク指揮 ノヴォシビルスク・アカデミック交響楽団
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