引越しをすると本が捨てられなくて困る上に、読み始めていて行方不明になった本や漫画を見つけてしまい、掃除がすぐに止まってしまう。漫画でも熟読してしまい、結局もとの部屋では半分も片付けられなかった。で、大原まり子さんの「戦争を演じた神々たち[全]」は半分ほど読んでいたのだが、時空を超えて運命的にまた再会したのである。
ログアウトに連載された連作短編集であるが、文庫本では4つの章( 1. 神々 2. 女たち 3. 世界 4. 戦争)に整理されている。もっとも、章分けはあんまり気にせずただ読めばよいのではあるが。
- 天使が舞い降りても
作用と反作用、再びエネルギーを得て、創造する喜びのオームさんがよかった。
- カミの渡る島
トーテムは「ライラの冒険」のダイモンを思い出した。いや、別々に書かれてはいるけど。このあたり破壊しまくるクデラの艦隊がミステリアスでいい!
- 宇宙で最高の美をめぐって
- 楽園の想いで
- ラヴ・チャイルド(チェリーとタイガー)
このあたりの女性一人称は、まあおもしろいけど趣味ではない。
- 女と犬
一番好きかも。女のほうがやはり強そうだなあ。
- けだもの伯爵の物語
これもおもしろかった。伯爵よりも猫女のほうが魅力的っぽい。最後のオチは、まあそんなもんか。
- 異世界Dの家族の肖像
これも好き。ちょっと理屈っぽい感じと最後のカタストロフが個人的な話になっているところと「血がつくと変化するという仕組みを知っている」のが、ちと破綻している気もするが。
- 世界でいちばん美しい男
「女と犬」とのペアですんごく好きだ。恐竜少女がかわいすぎる。
- 戦争の起源
- シルフィーダ・ジュリア
まあわかるけど、、、という感じ。作品発表後の金融危機を見ていると、まだまだ現実のほうがひどい気がする。また、双方の軍の起源についてはワタシとしてはわからないままのほうが良いので、この2作があるばかりに神話的なイメージが逆に現実に落とされている気がする。SFだと書いちゃって、ブンガクだと書かないのかもね。もちろん単独の話としてはそれなりにおもしろいですが。
というわけで、ログアウトといえば田中としひさの「おこんないでね」も引越し中にみつけて手を止めてしまった作品であった。
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