パット・マガーの作品は読んだことがない。ミステリーとしての最初の作品が1946年ということで、黄金期よりは後らしい、ということだけしか知らないのだが。「七人のおば」(Seven Deadly Sisters)は昔「怖るべき娘達」という題で翻訳されていたようだ。うーん、題名的にはどっちも意味があって片手落ちかな。
結婚してイギリスに住んでいるサリーに、ニューヨークのおせっかいでしかも言葉足らずの友人から手紙が届いたことから話が始まります。。そこには、「あなたのおばが夫を殺してしまい、自殺をした」ことが書かれているけど、いったいどの叔母のことなのかが書かれていません。。。つうか相手も当然サリーが知っていると思って手紙しているわけですから。妊娠しているサリーはどの叔母のことなのか気になって仕方なく、夫のピーターにニューヨークでの七人の叔母との生活を回想することで、見当をつけようとします。。。
というお話で、最初は7人の叔母に亭主を加えた大家系図があって、最近の記憶力の悪さでは腰が引けたのだが、各おばの性格がわかり始めるとすんごく面白くなってやめられなくなってしまった。各人のキャラが立っているのでどの叔母も間違えようがないのである。このあたりの書き分ける力はすごいなあと思った。なお、あとがきや他の読書録でもあんまり書かれていないんだけど、各性格はキリスト教の七つの大罪に基づいて作られているようなので、それを念頭に置くとよりわかりやすいと思う。あまりにも書いてないのでちょっと心配になるが、まあタイトルの Seven Deadly Sisters 自体が Seven Deadly Sins (七つの大罪)のもじりであるから、間違いはないだろう。。。というか、向こうの人にはすぐわかるようになっているわけですね。私なんか七つの大罪は映画の「セブン」で詳しく知ったのであるが、最近は鋼の錬金術師のホムンクルスで有名だから子供のほうが詳しかったりして。7人のホムンクルス叔母さん?
で、話はミステリを超えておばさんたちの壮絶な家庭生活が面白すぎる。うーん、女は怖い、怖い。というわけで、ネタは途中でわかっちゃうんだけど、最後まで楽しんで読むことのできるミステリーです。いやーおもしろかった。
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