山本五十六

「坂の上の雲」最終回見て涙したので、ついつい戦争ものへ。正式には「聯合艦隊司令長官　山本五十六　太平洋戦争70年目の真実」らしいけど、タイトル長すぎ。

で、役所広司をはじめ役者陣がすんごくがんばっているし、ＶＦＸも良いのに、映画としてはむかつくぐらいになっていない。監督の成島出、脚本の長谷川康夫、飯田健三郎は地雷だな。山本五十六のエピソードをぶつ切りにして、彼のかっこよいせりふのシーンを並べましたけど脈絡はつけられませんでした、って感じです。

語り手が本当にばらばら・・・新聞記者役の玉木宏に語らせるなら、その視点にしてしまうにはどうするかとか何か策を普通なら考えると思うのだけれど、何の演出もない。。。出てくる無謀な作戦参謀とかのことを表現する資格がないレベルです。これを観客は映画として観てくれると信じているんですねえ。

どうでもよいエピソードまで入れすぎの割には、登場人物に関する説明が一切ない。そりゃシミュレーションゲームしてるとか漫画の「ジパング」にでもはまっていれば、米内光政とか井上成美知っているかもしれんけど、普通はわからんぞ。。。その中で人間関係や役職に関する台詞が一切ない。。。とにかく山本五十六が開戦に反対していたと伝えたいだけなので、各登場人物も使い捨て。永野修身との意見の違いとかはもう少し状況を掘り下げて表現しないと人間のドラマにならない。ライトノベルで「五十六は開戦に反対したのであった」と書いているレベルの映像です。説明しない割にはたくさんの人物だしてくるし。。。お姉さんも一回だけ出して使い捨てかよ。。。小料理屋「志津」なんて一切いらんだろうに。甘味屋もいらん。ここで五十六様のやさしさと物資の欠乏を馬鹿な客に説明しますと書いてあるようで観ていてつらいレベル。

パイロットたちも全部捨てて、もう山本五十六と参謀の黒島や三宅との間をもっとがんばって表現して欲しかった。吉田栄作、椎名桔平の良い演技がとてももったいない。また相手としての永野修身や南雲忠一との対立も掘り起こさないとドラマにならん。いくら山本五十六の話でも南雲や永野のその後は触れるべきだろうに。南雲もミッドウェイで使い捨てです。

音楽の岩代太郎も、墜落のシーンであんな甘ったるい音楽のせてるのは客をなめてるよね。でも監督の要望だったのかな。とにかく信じられん感性です。

というわけで、役者の熱演がもったいないので、素材を使って「坂の上の雲」のスタッフで編集しなおしてください。