ロシアものも好きなんだけど、チャイコフスキーのくどさは苦手で、どちらかというとボロディンなどのほうが好き。もっともわたしゃ日本人で、地方による違いがよくわからないので旧ソ連で一まとめにしているんだけど、中央アジアよりとか地域によって全然違うんだよね。
カリンニコフは交響曲を2曲書いているけど、特に胸キュンなのは第1番の方。どちらもロシアらしい良い曲だし、他の作曲家にも良い曲はいっぱいあるんだけど、なんかどうでもよい楽曲分析を超えて、これがロシアやねん、と胸に迫ってくる。チャイコフスキーあたりだとねっとりくるんだけど、こちらはバラライカやドムラよるロシア民族楽器オーケストラのようなねとつかない明るさがある。でも旋律やリズムが心に触れるかは、分析したってでてこないんですよね。 なんつうか第1楽章のフーガ風のところなんぞでとろける。
ヤルヴィ父の演奏はスヴェトラーノフほどゴリゴリではないけれど、この演奏でこの曲を知ったので個人的に思い入れがある。そもそも1990年頃にはヤルヴィの演奏が出るまで他のは手に入らなくて、このCDで曲自体が見直されたんだったなあ、と。最初に出たときは交響曲第1番にグラズノフの幻想曲「海」、音楽的絵画「春」を合わせた盤で私が持っているのはこちらだけれど、最近はカリンニコフの交響曲第2番とあわせた盤で出ているようだ。私がヤルヴィ父を愛する理由は、いかなるときもリズムが死なないことである。時には歌いすぎになったり突っ込みすぎのこともあるけれど、昭和のリズム王だと秘かに思っているのだ。うふふ。
クチャル指揮のCDはナクソス盤なので1000円ほどなんだけれど、曲を知るにはこれでも十分です。昔はヤルヴィ盤が1番2番分かれていたのと、高かった(というか当時の普通の値段)もあって、ナクソス盤は大ヒットしたはずです。ヤルヴィより流麗な演奏ですね。ただヤルヴィのような前のり感がないので、そういう意味では普通の良い演奏です。 こちらの方がよいという人がいても全然おかしくはない。
ロシアの曲のスヴェトラーノフの1975年演奏のものはいわばロシアものとして定番でああるのだけれど、前述のとおり当時は手に入り難かったこともあり、買ったのはもう少し後なのだともう。時期によって色々なところから出ているようだけど、私のものは仏ハルモニアムンディ盤である。スヴェトラーノフのイメージどおりで弦ゴリゴリで演奏はすんごいけど、超ロシア風の演奏が好きでないと胃にもたれるかもしれない。あと、録音がさすがによくないので、その前提で聴いてください。フリードマン指揮のものはアルテノヴァの廉価盤で第1番の他にグリンカの「ルスランとリュドミラ」からの舞曲と「ホタ・アラゴネーサ」による華麗な奇想曲(スペイン序曲第1番)の組み合わせですが、グリンカについては稿を別にしましょう。こちらはどうにも遅くて好みに合わないので廉価盤であることを入れても選択には入れ難い。
手元のCD
- ネーメ・ヤルヴィ指揮 スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
- クチャル指揮 ウクライナ国立交響楽団
- スヴェトラーノフ指揮 ソビエト国立交響楽団
- フリードマン指揮 ロシア・フィルハーモニー管弦楽団
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