フランク―前奏曲、コラールとフーガ

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ピアノ曲はどうも得意ではない。ショパンとか苦手だし。ただ、ショパンの曲は一生聴かなくても問題ないけど、フランクの曲は時々強烈に聴きたくなるときがある。

セザール・フランクはベルギー生まれでフランスで活躍した作曲家で、学校の音楽史で習う分には循環形式で有名です。彼の作品は本当にすばらしい。交響曲もヴァイオリン・ソナタもピアノ五重奏曲も弦楽四重奏曲もそれぞれ1曲づつなので第何番という番号はつかないけれど、どれも名品。どれも晩年であるが、歳とってなんか悟ったのかな?

「前奏曲、コラールとフーガ」は彼のピアノ曲としては「プレリュード、アリアと終曲」と並ぶ作品ですが、これがいい!作曲時にはバッハの「プレリュードとフーガ」を意識していたらしいけど、その後に間にコラールを入れて接続し、3部からなる形式になったようです。このフーガ主題もバッハのカンタータ第12番「泣き、嘆き、憂い、慄き(Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen)」BWV.12の半音階に由来するとのこと。この「泣き、嘆き、憂い、慄き」とは、この曲の感情そのものかもしれない。

サン=サーンスは、この作品に否定的で、「不体裁で弾きにくい曲だ。この曲では、コラールはコラールではなく、フーガはフーガではない。なぜなら、フーガはその提示が終わるや否や元気を喪い、際限のない脱線によって継続されるのだから」とのことだけれど、フーガではないフーガが良いのであり、脱線して泣き、嘆き、憂い、慄くんだよなあ。「プレリュード」のアルペッジョの上にコラール旋律が現れ、さらにそこにフーガの主題が重ねられる瞬間は身震いものですよ。サン=サーンスもきっとわかっていて、嫉妬ですな、これは。

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ベルトラン・シャマユというピアニストについてはまったく知らないんだけど、このCDの演奏はとても気に入っている。アーテキュレーションが好みに合っているというかやりすぎないところが好き。「前奏曲、コラールとフーガ」はもちろんとして「プレリュード、アリアと終曲」、交響詩「鬼神(ジン)」、交響的変奏曲が入っているのも良い。また、本当はこちらの曲を取りあげようかと思った、「前奏曲、フーガと変奏曲」のピアノ+ハーモニウム版が入っているのが素敵過ぎる。

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クロスリーのCDも良い曲がそろっていてこれも良い。「前奏曲、コラールとフーガ」「プレリュード、アリアと終曲」に加えて「前奏曲、フーガと変奏曲」「コラールNo.3」といったオルガン曲のピアノ版が入っている。演奏的にはシャマユのほうが好きだ。

ジャン=フィリップ・コラールのCDはEMIのフランク2枚組のものでピアノ曲はこれだけなのだが、交響曲や管弦楽、室内楽とフランクの代表曲がそろっているので、手早くフランクに親しむにはこちらでもよい。ボレの演奏はちょっと表情つけすぎで、私にとってはいまひとつ。

手元のCD

  • ベルトラン・シャマユ(ピアノ)
  • ジャン=フィリップ・コラール(ピアノ)
  • ポール・クロスリー(ピアノ)
  • ジョルジュ・ボレ(ピアノ)

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このページは、なおきが2011年12月 7日 19:58に書いたブログ記事です。

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