フォーレ―ピアノ五重奏曲第1番

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フォーレの室内楽曲では一般にはヴァイオリンソナタやピアノ四重奏曲が有名な気がするけど、私としてはこのピアノ五重奏曲第1番が好きだ。いやでもピアノ五重奏曲第2番はどうなの、と問われればうーむとうなってもなんとか我慢するかもしれない。しかし、じゃピアノ三重奏曲は、弦楽四重奏曲は、と重ねて問われるとすみません転んでしまうかもしれません。うーん。

ピアノ五重奏曲と書いているけど、これはピアノと弦楽四重奏団である。弦楽四重奏は音色が弦楽器のみなので、ある意味水墨画のような世界なんだけれども、これにピアノの色彩を加えると、あーら不思議、表情が大きく変わる。なんというか表現力が拡大されるので、より雄弁に物語ることができると思う。もちろん弦楽四重奏曲の禁欲的な世界はその世界の中で美を構築できるのは当然のこととして。

フォーレの室内楽曲を聴くと、私はモネやセザンヌといったフランス印象派の画家の絵よりもターナーの後期の絵をイメージしてしまう。そう、和声が緩やかに変化していくアルペジオの中に光と陰を感じるのだと思う。特にこのピアノ五重奏曲の第1楽章のアルペジオがひそやかに始ると、心がふにゃりととろけてしまう。そして弦の押さえた旋律が重なってくるとそれはもう、至福である。いや、大きな幸せではなく、ほんの小さな心の中にひそやかに灯るロウソクのような暖かさ。立原道造読んじゃうぞ。もちろん2楽章3楽章もその暖かさは減じることなく、ああワタシガオンガクヲキクノハコノシュンカンノタメデアロウカ?

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確かパレナン四重奏団とジャン・フィリップ・コラールのCDを持っていたはずなんだけど、ちょっと行方不明。とてもよかった気がするが、うーん、なんか記憶の中ではどんどん演奏が美化されている気がするので、聴きなおすとそれほどでもないのかもしれない。で、廉価で有名なブリリアントのフォーレ室内楽全集のローマ・フォーレ五重奏団であるが、これも良い演奏だと思う。この廉価盤はCD5枚で他の曲もすてきなものばかりなので、買っても全然損しないと思う。そういえば、ブリリアントからはエベーヌ四重奏団による新録音も出ているようで聴いてみたくなった。

(追記)

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エベーヌ四重奏団のものはブリリアントではなくヴァージンだったのでお詫びして訂正いたします。で、近くのイオンの中のタワーレコードにあったので、思わず購入してしまった。全部は聴いていませんが、このピアノ五重奏曲第1番でもとろけることは可能です。しかし、CD5枚の新録音のセットが2千円ほどというのは、なんかお得感満載です。箱をぱっと見るとSPレコードの復刻かともとれるデザインで渋い。

手元のCD

  • ローマ・フォーレ五重奏団
  • エベーヌ四重奏団

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このページは、なおきが2011年12月 2日 13:27に書いたブログ記事です。

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