シベリウスの交響曲で傑作はというと第4番とか第7番があがることが多いのだろうが、それにはまったく賛成であるけれども、自分がまず偏愛するのは第1楽章がかわゆすぎる第6番である。なお、第2番が有名かもしれんけど、自分的にはあんまり好きではない。シベリウス全般にそうだけど、曲の構成力のせいかオーケストレーションのせいかわからんけど、指揮者の力量にかかる部分が大きいように思う。特に第2番は大きくて普通の指揮者では曲にならない気がしている。
作曲開始は、第5番と同時期のようだけど方向性は反対で、第5番が外向き・祝祭的なのに対して、第6番は優美でツンデレなのであって、大袈裟にやられても困るし、単にツンツン下品なのも困る。ツンデレなオンガクはツンデレに演奏されたものが好きなのだ。この曲に関してはヤルヴィ父の旧盤のツンデレぶりにやられまくったので、ヤルヴィ父押しでいきます。どちらかというとリズムよりは優美な感じの曲のはずなんだけど、助走の旋法的な響きとアーティキュレーションから絶妙のテンポ感で快速までひっぱっていくのが、かわゆすぎる。もうやりすぎぎりぎりのアーティキュレーションに脱帽。。。いやぎりぎりやりすぎかもしれんけど、このツンツンからデレに変わる瞬間がたまりませぬ。このテンポ感覚が好きでヤルヴィ父好きなのだ。打楽器奏者出身だからかなあ。
まったく同じオケで再録というのも最近は珍しい気がするけど、DGに独りの指揮者でのシベリウス全集がなかったこともあるのかな。録音はSACDでとても良い。この曲に限ってはずいぶん1楽章が遅くなっていて、大人になったツンデレという感じで、魔法の瞬間は現れるものの、体格がずいぶん大人になっちゃったなあと思う。録音は良いし、これはこれでよい演奏だけど。
ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団はベルグルンド3回目の全曲録音で、ありがたいことにタワーレコードの自主制作盤の形で廉価で復刻。復刻された頃にベルグルンドが亡くなったので、追悼盤のようになってしまった。仮にシベリウスの他の演奏を持っていたとしても購入して損はないです。一応アマゾンのワーナーでの全集にリンクはしますけど、タワーレコードではこちら。
ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団はもちろん個別で出ていたのだけれど、個人的に持っているのはこのシベリウス全集。これも必須かなあ。ラハティは第5番の原典版やヴァイオリン協奏曲の原典版もあってシベリウスファンにとっては頭が上がらないですね。他に交響曲だけの全集も出ています。
セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団は2楽章とか遅すぎて疲れる。そんな立派にやられてもって感じ。デイヴィス指揮ロンドン交響楽団のものはLSO Live のシリーズなので、2003年のライブ録音なんだけど、1楽章の弦のきざみのかけあいのところがどうにも微妙にリズムがずれている気がして乗らない。気になり始めると爽快感が失せます。ツェートマイヤー指揮ノーザン・シンフォニアの快速ぶりはなかなか好みの速度だが、さすがに荒すぎる。
手元のCD
- ネーメ・ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団(旧)
- ネーメ・ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団(新)
- ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団
- デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団
- ベルグルンド指揮 ヨーロッパ室内管弦楽団
- セーゲルスタム指揮 ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
- ツェートマイヤー指揮 ノーザン・シンフォニア
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