アラン・ホヴァネスはアメリカ人だけれどもアルメニア系の血をひいていて、最初は純粋にヨーロッパ音楽の技法で書いていたけれども、バーンスタインやコープランドに批判されて、ルーツのアルメニア音楽や東洋音楽の要素を研究して取り入れています。なんつうかクラシックではなく通俗音楽に分類されたりもして、確かになんかどれを聴いても金太郎飴っぽいのですが、はまると時々おいしい。
ホヴァネスは交響曲を67曲書いているのも含めて全部で400曲以上も書いているとのことなので、とてもフォローできないのですが、なんとか交響曲は追いかけようと心して25年、しかし金太郎飴だし、もう良いかなと思うこの頃であります。手元のCDを数えてみると28/67曲までは集めたので、もうよかろう。で、交響曲で好きなものというと有名な2番でも良いのだが、ティンパニががんばっちゃう50番が良いかなと思ってみたり。
交響曲第50番「セント・へレンズ火山」はワシントン州にあるセント・ヘレンズ山の噴火を題材にしたもの。ホヴァネスの自然への讃歌ものですな。鈴木静一の北夷ですかと思うような民俗的な香のする旋律とフーガの第1楽章、つまずくような舞曲風だったり子守唄風で中間に打楽器パートを含むの第2楽章。そして、「噴火」と題された第3楽章では鳴動を表す序奏から、ティンパニ、トロンボーン暴れまくりの噴火アレグロか・ら・の・フーガ。ああ、やっぱりフーガですか。しかしこのフーガは祝祭的な感じもあって曲の最後にふさわしいです。
ホヴァネスの演奏というとジェラルド・シュワルツばかりが出てくる感じです。このテラークの新録音盤はSACDででているし(リンクは一般CDの方に)、50番に加えて交響曲第2番「神秘の山」という代表曲や、交響曲第66番「グレイシア・ピークへの讃歌」という自然讃歌シリーズがなかなかよいです。ホヴァネスといえば、唐突に出てくるフーガ、ですが第2番や第66番でも堪能できます。これはとても聴きやすい組み合わせだと思う。実は第66番「グレイシア・ピークへの讃歌」のフルートのロンド風のところやフーガはやはり美しい。
デロスというレーベルから出ていたジェラルド・シュワルツ指揮シアトル交響楽団の演奏はたぶんこの曲の演奏の定番といってよくて、組み合わせを変えて何度も再販されています。第50番の演奏という意味ではこちらの方がよいかもしらない。私が持っているのは最初に出たセント・へレンズ火山の写真のジャケットのものなんだけど、つい最近はナクソスから曲の組み合わせを変えて再販されたので、これが手に入れやすいかもしれない。買おうかとも思ったけども、全曲旧盤で持っていたので買わないことにしたのでした。
手元のCD
- ジェラルド・シュワルツ指揮 ロイヤル・リヴァプール・フィル
- ジェラルド・シュワルツ指揮 シアトル交響楽団
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