ジュゼッペ・マルトゥッチは19世紀後半のイタリアの作曲家ですが、オペラ全盛のイタリアにあって交響曲や協奏曲とか絶対音楽(・・・お金にならない)の作曲に取りくんだ珍しい人です。かといってワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」をイタリアで初演の指揮をしたりしているわけですが。
2曲の交響曲やピアノ協奏曲も良くかけていて一瞬シューマンかいな、と思ったりするようなおもしろさですが、後期ロマン派とイタリアのカンタービレ的な叙情性から「ノットゥルノ(夜想曲)」と管弦楽伴奏付き歌曲「追憶の歌」で悩んだ上でやはり「ノットゥルノ(夜想曲)」にしておこう。本当に美しいというかやさしさに包まれたなら、という曲である。そもそも原曲はピアノであるけど、ピアノの演奏は聴いたことがない。ワーグナーのジークフリード牧歌のイタリア版といいましょうか。でも夢見る度合いはこちらが上。
ムーティは90年代前半いくつかのイタリアの管弦楽作品を録音していて、イタリアクラシック音楽ファンにはかかせないのですが、やはり売れなかったのかその後はあんまりないなあ。。。なんつうか歌わせ方の濃さとかはこの曲にぴったりです。一緒に入っているのはカゼッラの「パガニーニアーナ」とかブゾーニの「トゥーランドット」組曲だったりおもしろい。
ロペス=コボスのものは加えてマルトゥッチの「追憶の歌」とレスピーギの「秋に」で、もうCD全体が夢見るような後期ロマン派の情感たっぷりな一枚になっています。演奏はムーティに負けていないので、夢を見るのはこちらがよいかもしれない。そういえばレスピーギはマルトゥッチの弟子だったんだね。なお、「SPEC―警視庁公安部公安第五課」 のニノマエ登場の音楽は「追憶の歌」の曲で「いいえ、色の褪せてしまった夢」です。ナクソス盤が使用されているらしい。
タバロス指揮フィルハーモニア管のものはかつてASVというレーベルから出た管弦楽曲集4枚をブリリアントがまとめたもので、コストパフォーマンス抜群です。昔バラで高い金で買ったのになあ(これこそ追憶)。。。演奏はムーティよりは少し荒い気がするけど録音のせいかもしれない。
手元のCD
- ムーティ指揮 スカラ座フィルハーモニア管
- ロペス=コボス指揮 ローザンヌ室内管
- タバロス指揮 フィルハーモニア管
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