後期ロマン派というには重さというか怨念というか、何かが足りなくてどこか軽いけど、よく書き込まれていて曲自体は重いというあたりが、私の望む方向性と逆であるので、どうも手放しに好きだとは言いがたいもやもやしたものが残るのであります。ピアノ協奏曲でも第4番あたりが最もよくできているという話もあるけれど、どこを聴いても、おおお、循環主題の扱いもうまいしよく書き込んであるなあとは思うものの、聴き終わるとあんまり残らない。心にとげとしてひっかかる部分がないのである。
というわけで、ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」のほうを。この題は第2楽章によるのだが、この旋律は心にひっかかる。もちろん第1楽章の流麗さも、第3楽章の華麗さもよいのだが、心に漣を起こすのは第2楽章。あまりに書き込む人なだけに、エキゾチックな雰囲気で薄めにいくのは有効であります。
しかし、ハフ(p) サカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団のものは、ハイペリオンのロマンティック・ピアノコンチェルトシリーズのひとつだけど、サン=サーンスのピアノ協奏曲全集であるのに加えて幻想曲「アフリカ」やオールヴェルニュ狂詩曲など珍しいものが入っているので、お買い得だと思う。ちょっと落ち着いた演奏かもしれない。
ライブの演奏ではチッコリーニのものが年をとってもなかなかのものである。これはアマゾンで見つからなかった。
手元のCD
- ・ハフ(p) オラモ指揮 バーミンガム市交響楽団
- ・チッコリーニ(p) レイヤー指揮 モンペリエ国立管
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