ドヴォルザーク―交響曲第8番

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ドヴォルザークは交響曲第9番「新世界より」が超有名ですが、私としては交響曲第8番の「イギリス」を先に選びましょう。いやそもそも「イギリス」とは呼ぶべきではないのだろうけれど。

現在のチェコは大きく分けて、ボヘミア(西部)とモラヴィア(東部)に大きく分ける事ができて、ボヘミアが西ヨーロッパ的なのに対して、モラヴィアはスラヴや東洋との関連が深く、音楽も、和声、リズムパターン、構成も規則性がなくて自由な旋律で構成される。。。らしい。というのはヤナーチェク用に調べた文章ですが、ドヴォルザークの出身は北ボヘミアで、やはり西ヨーロッパ的なのでしょうなあ。

さて、個人的にはドヴォルザークにそれほど思い入れがあるわけではなく、有名な「新世界」にしても第2楽章が甘すぎるし、他の楽章も刺激一杯でよく書けているんだけどお腹一杯感を感じてしまうので、どうも敬遠してきたところがある。なんつーかボヘミア的な甘さがない(新世界なんだから当たり前かもしれませんが)。交響曲で選ぶなら8番になってしまいます。交響曲第8番は「イギリス」とも呼ばれますが、出版社がイギリスの出版社だというわけで曲自体はなんら関係がありません。ドヴォルザークっぽくはあるけど交響曲らしい端正な1,2楽章から一転ほぼスラブ舞曲の3楽章、そして明るくはめを外したくなる終楽章とエッセンスが満遍なくつまった曲だと思っています。

持っているCDも偏っている。結構定番っぽいチェコの楽団のものなどあまり持っていないし(SACDでイヴァン・フィッシャーのものを買っているけど)。さて、アバドのものを持っていたので、これを一番にあげようかと思ったが、しっかりしているもののどうも端正すぎて壊れた部分がない。普通のロマン派の交響曲としての国民楽派としての土俗性が8番は少なくともきゅいんきゅいんやってくれないと、というのが好みである。

当たり前すぎるといわれようと、カラヤン指揮ウィーン・フィルのものが良い。カラヤンの指揮もベルリン・フィルの頃より少し柔らかいのか年取ったせいなのか。またこの曲の音色としてはウィーン・フィルの方がきゅいんきゅいんしているので良いと思う。考えてみると1楽章2楽章のしっかりした構築性から3楽章のべたなスラブ舞曲、4楽章の明るい祝祭性をうまくまとめながら、すこしづつそれぞれの方向にはみ出しているというか、そのバランスが好きだ。一緒に入っている9番も名演だと思うが、曲の楽章の方向性がそろっている気がするので、曲自体がまとまりすぎている気がするのだ。

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ジュリーニ指揮シカゴ交響楽団もよい。カラヤンでちょっとこってりだと思えばこちらを聴くだろう。本編のBlogで書いたけど、このコンビは最強の組み合わせの一つだと思う。CDで簡易に手に入るのは幸せな世の中であります。ジュリーニではもうひとつロイヤルコンセルトヘボウとのものをSONYの22枚組でもっているが、より遅め、レガート多めなので、こちらはまさにジュリーニを味わうためのセットです(リンクは単体に)。ただ、SONYのほうは一段と遅いので、ジュリーニからスタートするのはお勧めできないというか、曲をすでに知っている人向き。

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アバド指揮ベルリン・フィルはライブで93年の録音のようだが、すんごく立派な演奏だと思うけど、それぞれのベクトルの方向にはみ出たところがない。そのあたりがアバドが物足りないと言われた所以のような気もするけど、じっくり聴くと心に沁みる。でもこの曲を聴くときはだいたい躁状態的だから、ちょっともの足りなくなっちゃうんだよね。

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SACDの最近のものではヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウのもの。これは「レクイエム」との2枚組だが、ドヴォルザークのレクイエムはそれほど有名ではないので良い組み合わせだと思う。ヤンソンスの演奏も良いし、コンセルトヘボウの音色も良い。ただ、やはり規模からいっても「レクイエム」を聴くべきCDだろうと思う。でも「レクイエム」も良い曲です。フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管のものもSACDで持っていてこれもよい。

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アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウのものは、ボックスセットで持っている。これはアーノンクールらしい演奏だけど、アーティキュレーションがあまりにくさくて私にはちょっと好きではない。これでは交響曲でなく交響詩である。私はこの8番を交響詩として聴きたいと思ったことが一度もないのだ。この曲を最初の人は、ジュリーニとは別の意味でこの演奏からは入らないほうが良いと思う。

交響曲第7番~9番の他に、交響詩、序曲、組曲といった珍しい曲まで入っての5枚組でドヴォルザークの管弦楽曲に浸るには便利だが、スラブ舞曲集は入っていない(他の指揮者の演奏も入ったセットです)。もっとも交響詩と序曲では私は父ヤルヴィのほうでよいので、このセットはいまひとつ活躍の場がないのであった。なお、アーノンクールの演奏は、現在は単独でも7番8番で出ています。

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ピリオド奏法や古楽器での演奏は古典派やロマン派前期で多いけど、交響曲第8番でもありまっせ。ノンレガート奏法で有名なノリントン。音響的には ノンシュガーな8番ですが、歌ってはいるので結構好きです。カラヤンで耳に脂肪のついた方はときどき洗い流しましょう。

ただ、ノリントンを買うくらいならいっそシュトリンツル指揮 ムジカ・フロレアのピリオド楽器を使った演奏の方がおもしろいかも。管とかけっこうふごふごいう感じなので嫌いな人も多いと思いますが。指揮者はよく知らないけど若手のようで、豪快にやっつけてくれます。7番はおいといて、同時に入っている珍しい曲が入っているのも魅力ですね。

 

手元のCD

  • カラヤン指揮 ウィーン・フィル
  • ジュリーニ指揮 シカゴ交響楽団
  • ジュリーニ指揮 ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
  • アバド指揮 ベルリン・フィル
  • ヤンソンス指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
  • フィッシャー指揮 ブダペスト祝祭管弦楽団
  • アーノンクール指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
  • ノリントン指揮 SWRシュトゥットガルト放送交響楽団
  • シュトリンツル指揮 ムジカ・フロレア

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このページは、なおきが2014年4月28日 01:30に書いたブログ記事です。

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