NINEを観てきた。
ロブ・マーシャル監督の「シカゴ」は大好きなので、「NINE」を。。。ついでに言うと、ダニエル・デイ=ルイスも大好きである。万全を、ということで、フェデリコ・フェリーニの「8 1/2」も観たのである。で、、、スターたくさん、見せ場たくさん、みんな芸達者、映像すてき、なのであるが自分的にはちょっと物足りなかった。ちょっとがっくし。
なぜかと考えてみるに、フェリーニの「8 1/2」がすごすぎるからだろうか。「8 1/2」のほうは監督の視点(=妄想)に固定できているのだが、「NINE」のほうは各自の歌の時点でそれぞれの人物の視点になってしまって、どうも単なる男と女の恋愛ものになっちゃっているからなあ。もうひとつ、「8 1/2」のほうは苦悩があってもなんだか乾いたユーモアがあるのだが、「NINE」にはそれがない。もっとも、別物であるから求めるものが違うのだといえばそれまでであるが。。。
また、「シカゴ」に比べると魅力的な曲が少ない気がする。頭に強く残ったのはシネマ・イタリアーノくらいであろうか。また、スター多すぎで、各自1曲みたいになっちゃってたからなあ。「シカゴ」は主役の3人がきちんと見せ場をもっていたからなあ。。。そう、歌が主役の見せ場になっていない気がする。また、「シカゴ」は最後のダンスのシーンが全体をうまくゴージャスにまとめていたけど、「NINE」ではキャスト総登場とはいえ、ミュージカル的なフィナーレ感覚からするとちと弱い。
結局映画として重い。うーん、デイ=ルイスも「存在の耐えられない軽さ」では軽かったのになあ(いや、役としてね)。。「8 1/2」の最後の「人生はお祭りだ、一緒にすごそう」のほうが「軽い」気がする(実はそちらのほうが実存的でメッセージとしては逆に重いのだけど)。
というわけで、「8 1/2」からゴージャスさは進化しても映画としては進化していないのであった。でもミュージカル映画としてはよくできていると思うので、DVDが出ても購入するだろうと思う。
ま、でも、どちらかというと「8 1/2」が必須ですな。
と書いて、超映画批評を後からみたら似たような視点だったので笑った。ここの批評はある程度信用している。(2010/03/28追記)
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