たぶん読んでいないであろうものを探して読んでいるが、「終わりなき夜に生れつく」は何かのおりにプロットらしきものを知ってしまったので、ついつい後回しになっていた。そうはいってもクリスティ自身が好きな作品の筆頭近くに上げる作品であるから、どこかで読んでおかなくては、ということである。
で、もう晩年の作品といってよいと思うのだが、うーん、うまい。というのは「推理」小説としてよりもサスペンス心理小説として、また、すくいのない人間の業みたいなものが心にせまるからである。したがって、本格推理小説は犯人当てのパズルとかクイズを求める人は読まないほうが良い。犯人はすぐわかるし、犯罪の構成もわかる人にはわかる(最近わたしゃそういうのばかり読んできたからねえ)。後味もすこぶる苦い(たぶん)。
しかし、ウイリアム・ブレイクの詩といい、最後に繰り返されるエリーの言葉といい、相手を見つけることができずにさまよっているエリーの姿といい、悲しすぎる。というわけで心に残る作品ということでは、確かにクリスティの中でもトップクラスかもしれない。
一応ミステリではあるので、もうこれ以上はトリックがあれであるとか、短編でも使われてるとか、、、書けません。でも犯罪の構図と他作品の関係など書きたくなっちゃうわねえ。クリスティはこの種の犯人の資質を本当に嫌っている、か怒っているのかなあ、と思ったりする。
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