「貴婦人として死す」はカーター・ディクソン名義でのHM卿がでてくる作品だけど、ずっと本棚に積んであったのであった。アマゾンで見ると品切れになっているが、私の持っているのは二刷で、三刷では表紙が変わっているようだ。年代もの。。。なのに読んでいる途中でコーヒーに浸水させてしまった。悲しい。
で、カーの隠れた佳作とも言われているようだが、確かに構成もトリックも細かいネタも良くできた作品だと思う。が、どうもリタに感情移入できないので割り切れない感じであった。うーん、このネタでクリスティとマープルであるならば、イギリス田舎ものの大傑作になったような。。。と、ないものねだりしてもしょうがないのだが、HM卿がどうもどたばた過ぎて私にはちょっと、という感じかも。どうも皇帝ネロのねたがなんらかの事件の構造や解決に関係するならよいのだが、単なるおちゃらけですか。。。あと「貴婦人として」というのもどうだかなあ。もちろん作品の構成がすごいとは思うのだが。
どうも気に入らないのは、HM卿の事件の片付け方かもしれない。殺された人間がどうにもならないやつで、、、というバークリー流なら犯人に感情移入もできるのだが、今回はトリックの関係もあって無理。これでこの終わり方はどうも自分的には許しようがない。こういうところが私にとってカーの気に入らないところである。つまり推理パズルとしてはすごく優秀でも小説としては、というところ。しかし、崖というのはロマンチックで2時間ドラマですなあ。
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