いろいろ情報をみていたら絶対に観たくなって、実際に観たらもう心にドカンときますよ。
もしもあの時違う選択をしていたら、、、というアイディアの小説や映画は数あれど、ここまでその多様な世界をうまく描ききった作品は少ないのではなかろうか?ついつい説明になってしまいそうなネタを美的に詩情あふれる画像で繋ぎきります。もっともどの軸なのか考えながら観ることになるので、頭はすごく疲れますわな。順番に展開されるのではなく、重要なシーンが次のまったく異なる選択世界のシーンにまるで夢のようにつながっていくのです。おう、夢というのはシュールリアリズムのような、あるいは小説ではマルケスのマジックリアリズムのような(タッチとしてはスティーブ・エリクソンかな?)絶妙のつながり方なのです。また、じじいの語りのあやふやさはミルチャ・エリアーデの「ムントゥリャサ通りで」みたいですな。シュールリアリズムといえばベルギーのブリュッセルで開催された第1回マグリット賞で作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、音楽賞の主要6部門を制覇したのもむべなるかな。 そう音楽もこっていたね。
かといって、単なる技術の映画なのかというと、その中には愛と涙が詰まっています。で、そのストーリーは男だったら誰でも思ってみるような展開とかなのですが、そのあたりわかっていらっしゃるという感じだ。そして着地。このようなSFあるいはファンタジーっぽい話では広げきった筋を着地させるのが大変ですけど、最後やっちゃったなあ。でもなんだかわからないままに胸が熱くなるのでした。そうそう最後付近にアンナとのエピソードがあって感動させてくれる。やっぱりここにこれを置くところがわかっていらっしゃる。
最後の着地は9歳のニモの。。。かと思いきや最後の最後が、ええっ、だったのでDVDでもう一度観たいぜ。いや映画館でもう一回でもいいなあ。。。でもこんな映画に限って東京で2館埼玉で1館のみの公開なのだった。
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