「太陽に灼かれて」の続編ですが、優美さやノスタルヂアとははるかに遠く、圧倒的なリアリズムと悲惨さに涙。
「太陽に灼かれて」をDVDで予習してから、ということで今頃観にいったのです。戦争の姿は圧倒的に悲惨で熾烈。その中で人間のやることの愚かさには悲しくなってしまうけど。
「太陽に灼かれて」では、スターリンによる大粛清で、革命の英雄だったコトフ大佐(ミハルコフ)は、反逆者の汚名を着て逮捕・処刑され、妻子も逮捕された。。。。はずですが、7年後の1943年、コトフ大佐を逮捕した秘密警察のアーセンティエフ大佐(オレグ・メンシコフ)は、スターリンに呼ばれて、コトフ大佐が生きているのでは?という情報を確認するように命じられます。 アーセンティエフ大佐は、コトフの妻マルーシャの元恋人で、現在マルーシャとその娘ナージャ(ナージャ・ミハルコフ)をかくまっています。
コトフ大佐は1941年、第二次大戦の勃発時に奇跡的に強制収容所を脱出して懲罰部隊の一員となり、雪原の中、要塞作りに従事しています。そこに背後からドイツ軍の戦車が迫って来て。。。一方、ナージャはアーセンティエフ大佐の言葉からまだ父親が生きていると確信しますが、傷痍兵と共に赤十字の船に乗って海原を航行中、ドイツ軍の爆撃機に攻撃されて船は沈没し、ナージャは海に投げ出されてしまいます。お互いを求めて戦場に生きる二人はどうなる?
というわけで監督自身が主演ですがもうコトフ大佐がロシアロシアしてます。ナージャはミハルコフ監督の実の娘で前作では子供でしたが、今回は大人になっちゃって。アーセンティエフ大佐も前回どおりオレグ・メンシコフですが、妻マルーシャは代わっているんですね。で、「戦火のナージャ」だけでも戦争の悲惨さは伝わるけど、ナージャの父への想いやコトフ元大佐とアーセンティエフ大佐の因縁などはやはり前作を観ていないとわからないだろうと思う。また、音楽も使われているタンゴの意味(象徴)は前作が必要。内容は悲劇的だけどロシアの夏の休暇のノスタルヂアいっぱいな前作と、戦場リアリズム的な今作との対比は、やっぱり前作を観ていて欲しい。で、三部作になるということで、ある意味この「戦火のナージャ」はストーリーとしてはほとんど進まないので、今作だけで起承転結を求める人には大いに不満かと思う。
「太陽に灼かれて」は第67回アカデミー賞外国語映画賞&'94年カンヌ国際映画祭 審査員特別ブランプリ賞の名作ですが、今回「戦火のナージャ」が公開ということで、つい最近DVDで出ました。まるでナボコフの小説にあるような昔のロシアへの強烈な郷愁を味わえます。ナージャは戸田愛菜もびっくりのかわゆさ爆発です。いやほんま。
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