奥泉光といえば、「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」が「妄想捜査」というタイトルでドラマ化されているが、設定だけでさすがに原作のおもしろい部分の核はどこにもないなあ。 やはり原作がおもしろいです。佐藤隆太や桜庭ななみが悪いというわけではなく。
というわけで「神器」の下巻も読み終わりましたが、おもしろかったけど、読むのに時間掛けすぎたので最後は疲れた。どんどん混沌に飲み込まれていくのはいいけど、時間掛けすぎたので誰が誰か思い入れし難かったなあ。現代からの毛抜け鼠はわかりやすかったけど。
で、中心は日本人論ということになるんだろうけど、明治維新による天皇中心の皇国感と教育が問題はあるんだろうなあと思う。江戸時代までは天照大神が中心という事もなさそうだし、現人神なんていう考え方もなかったはず。そもそも橿原神宮も明治に作られたわけで神武天皇がえらかったわけでもないし、また靖国神社で戦死した人すべてを祀り始めたのも明治からだしなあ。急仕立てで基盤の弱い部分をイデオロギーで補うといったところだろうか。そもそも神社で祀られるのは基本的にものすごい偉い(強い)人で恨みを残して死んで祟る人だったのに、一般人まで入れたから、精神的に間違っちゃったんじゃなかろうか。
小説としては推理小説仕立てではあるけどミステロイドというかその部分は読ませるためのエンジンでしかないので、そこを間違って読むとがっくり来ると思う。思うけど、ロンギヌス物質に関しては最後に一活躍してほしかったなあ。
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