今年どうしてもみたーい、という映画だったので、ちょうど今日は映画の日じゃないかということで視てきた。GAGAはがんばって宣伝しているけど、きっとこけるだろうから打ち切りにならないうちに、ということであります。
最初から宣伝文句は怪しいと思っていたが、ストーリーとは相当違うので笑ってしまった。三人とも全然頂点とか目指していないし、カミソリなんて接点も少ないし、きっと宣伝担当も困ったことだろうと思うと余計に笑える。でもウォン・カーウァイの映画なんだから仕方ない。
トニー・レオンの葉問が渋くてもちろん良いのだが、やはりチャン・ツィイーの八卦掌と幸薄い感じが良い。ストーリー的にも、イップマンの主役のはずが、いつの間にかチャン・ツィイーのルオメイが主役をのっとっちゃった感じだなあ。ま、技だけならドニー・イェンのイップマンにはかなわないんだけど、こちらはラブロマンスのほうにいっちゃうのでトニー・レオンがあっているのかもしれない。で、ウォン・カーウァイの画面はどこを切っても美しすぎる。カンフー映画でここまで美しく撮れるとは思いもよらないのでありました。しかしカットが美しすぎて技の動きとか見難いところがあるのでした。本編はあれでよいとして、距離をおいて長回しで写した版がほしいなあ。 もう少し長いバージョンで、套路なんかももっとほしかったなあ。DVDやBDで付録につかないだろうか。
ウォン・カーウァイがんばっているけど、ストーリー的にはやはりちと破綻気味。カミソリなんか全然本線とからまないし(時間的にカットされたシーンもあったのかな)。香港以降は戦うシーンはあまりないから、過去の戦いを回想の形で持ってきたりなかなか全体のバランスに苦労しているなあというところだ。しかも香港以降はイップマンの奥さんもまったく出てこないし、ストーリー的なバランスは狂っているのだけれど、印象的で使いたいカットをつなぐとこうならざるを得ないんだろうなあ。ウォン・カーウァイはなんちゅうかそういうストーリー的な弱点が映像の強さと裏表になっているところがおもしろいんだけれどね。結局ストーリーは成就しないラブロマンスにいっちゃうのかよ、という感じで。
いやそれでも、ルオメイとイップマンの最後のシーンはなかなか泣ける。ルオメイの回想も泣ける。
(2013/6/2追記)カミソリのモデルは劉雲樵なんだろうけど、やはり八極拳と戦争中の間諜のエピソードは外せなかったんだろうと思う。後の理髪店の写真は笑っちゃう。
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