そもそもなんで読んでいなかったかというと、「ルピナス探偵団の憂鬱」がまだ文庫に入っていないからで。。。と思っていたら、1年半前に文庫に入ったらしい。で、まったりと読みました。
もともとが少女向け小説のこともあってか、特にキャラクタがはっきりしているんだけど、それが気持ちよい。その分きちんと会話の役割が別れている。ライトのベル的な会話の掛け合いの楽しさと謎の部分、特に物的証拠の部分と心理的な部分を異なる探偵をもってきているのが良い感じだ。一部では本格とは論理がすべてみたいな感じがあるけど、そうであるなら私はアンチ本格である。つまり心理的に整合性をもてないものは、なぞなぞかクイズだと思ってるからだ。もちろん心理的な動機は確定することができず、推測でしかないのかもしれないけれど、でもそれがないと小説にならない気がしている。特に心理的な推理で読み手になるほどといわせるのは、結局そちらのほうが難しいだろうと思う。このシリーズでは両方あってうれしいです。
その他に「ルピナス探偵団の当惑」の四人組の関係性が好きだ。べたつかず、離れすぎず。でも、知的な男性からの理想像というのはるだろうと思うけど。ただ確かに麻耶の立ち位置が弱いなと思っていたら、「ルピナス探偵団の憂鬱」のほうで一挙に中心に来ちゃった。こちらは構成のうまさもあって完全に泣けちゃうんだけど、心理的探偵役としての彩子が薄くなって、その分が不満。私は彩子さんの心理的解釈が大好きです。
「ルピナス探偵団の憂鬱」の第一作の「百合の木陰」はエリアーデの「百合の花蔭で」からの影響はどうなんだろう。でも、最後の、いつか天国で、というのはやはりエリアーデの小説からの着想だろうか。泣けるね。本当に泣ける。
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