津原泰水さんの本は「妖都」を読んだことがあるんじゃなかろうかと思うが、細かい筋はまったく覚えていない。
で、「蘆屋家の崩壊」なんだけど、ホラー作家の「伯爵」とそのお供?の猿渡が出会う妖異について、妖異を引き寄せる体質のある?猿渡の語りで記述された短編集です。どれもなかなか考え落ち的で怖い。全体を通しては「やはり女は怖い」ということであろうか?あまり女性が絡まないもの(虫のやつなど)もあるのだが、どうも「猫背の女」の印象が強いせいかもしれない。
反曲隧道
だいたいオチはみえるが、そのオチがわかった上で最後の気味悪さというか生理的な怖さが良いのだろうと思う。
蘆屋家の崩壊
前半の伝説とのからみがおもしろかったのだが、一番最後の崩壊はコラージュとしてもちょっとやりすぎかなあ。その前で終わっても良かったと思う。「蘆屋家の崩壊」がポーの元歌取であることに、終盤まで気づかないオロカナワタシ。
猫背の女
怖すぎる。生理的な部分での怖さが上手だ。
カルキノス
蟹については私も他に思いついた。
超鼠記
最後はこう落とすのかと勉強になった。
ケルベロス
最後が泣くけど怖い。やはりホラーは人間の想像が一番怖いのだ。
埋葬虫
虫・・・嫌過ぎる。ただふたつの関係も怖いのだが、考えオチみたいな感じでナルホドとなってしまうので、衝撃は少し薄れてしまう。
水牛群
ここまでくると猿渡君も関口巽みたいになっちまったなあ。文句はないんだけど、こうなった理由にもう少し衝撃があるのかと思っていた。
全体としてアイデア中心的な感や発想の流れがみえそうなものもあるけど、全般にうまくできているなあと思う。続きのシリーズとして「ピカルディの薔薇」も読みたいけど、単行本なんですねえ。もう引越しで、単行本は買いたくないなあ。また「綺譚集」にも興味がある。
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