もうなんだか読書にすごく時間がかかるようになってしまった。なんか読みたいという気力が薄れているのを無理やり読んでいるのだろうか?マコーマックの「ミステリウム」が出ていたので読み始めたのだが、前に読んだのが2005年9月の「パラダイス・モーテル」ということで、名前以外前作や短編集の内容はほとんど忘れております。
で、「ミステリウム」ですが、寂れた田舎の炭鉱町キャリックでの事件の謎を追うというミステリーの形式はとっているけど、マコーマックですからそのままいくわけはなく、メタミステリというかアンチミステリというか「やぶれさる探偵」そのものであります(「やぶれさる探偵」をアマゾンで見たら中古で15000円で出していやがる。私はもう少しお安くしますぜ)。
謎解きらしいものはあるのですが、結局それは上辺である、あるいは作られた答えである、ということで、「本当は」実際に何が起こっていたのか、については解答のしようがありません。なんつうか数学的には「不定」という感じでしょうか?ただその町と登場人物の雰囲気(とにおい?)自体が主題とも思えます。マコーマックがどこまで精密に書いているかは信用できないので、昔のジーン・ウルフのときのように読み込む根性なし。「町の秘密は町の人全体の秘儀(ミステリウム)である」ということでしょうか。
というわけでアンチミステリとしてはおもしろいけど、マコーマックとしては短編や第一長編からはまとまりがよくなった感じで、うーん壊れてないからちょっと不満、というのもおかしな話ではありますが、マコーマックの場合にはもっと壊れているものを期待してしまいます。ただ、今回も小説と散文詩の間みたいな感覚ではあります。
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