クワコーといえば、「モーダルな事象」だったので、その続きかと思いきや、アトランティスはでてきませんし、二代目春狂亭猫介にもなっていません。クワコーの基本設定(性格含む)を元にユーモアやります、って感じです。もっとも、二代目春狂亭猫介については別のネタになって第二話に出てきますが。パラレルワールドとかいうよりも、どちらかというと今回の小説の脚本に対してクワコーという出演者をチョイスしてくる、こんばやしまこと流スターシステム(関の弥太っぺや沓掛時次郎)みたいなもんかな。 「シューマンの指」ともまた方向性はまるきり違うのでご注意を。
タイトルや装丁の「スタイリッシュ」とは正反対なクワコーのだめだめ生活が楽しすぎる。その比喩をつくした文章芸がすごい。また、文芸部員たちがうざいはずなのに、読んでいくうちにけっこうかわゆく思えてくるあたりが、奥泉光先生の手のひらでころがされている、ということなんだろう。なんだ、クワコー、結構文芸部員とうまくやってるジャンと、前回の終わり方が逆に行っちゃっていただけに、クワコーちょっと良かったな、と思う。 ホームレス女子大生探偵のジンジンがするどいね。まあミステリの部分はとにかく小説を進める軽エンジンにしておいて、キャラクタの飾りで押し通しちゃいます、って割りきりが気持ちよいし、笑えすぎる。もっとも、私の友人にも大学教授がおりますが、大学の先生は苦笑いになるかも。あ、千葉の人もだ。
三谷幸喜脚本みたいに、このまま舞台劇になっちゃうなあ、とも思ったけど、よく考えると笑える7割はクワコーの独白なんだから、やはり小説は小説で、ということだな。
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