シリル・ヘアーはイギリスの黄金時代後期の作家です。「英国風の殺人」は読んだのですが、まずまずだった記憶があるけど、法曹界の人なので、法律的なものが多いとのこと。で、「いつ死んだのか」は彼の遺作であります。まあまあおもしろいけど、もって回った言い方が伝わりにくかったりするので、もう少し翻訳で補っても良かったかなあと思う。内容はタイトルどおり、いつ死んだのか、によって遺産の受け取り先が変わる問題が発生するのです。このあたり英国の相続の法律を知っていないとちょっとつらいかも。もちろん本文中に説明はありますけど。ただ、このあたりはプロットの展開に関係するので、頭からきちんと説明できないところがつらい。
ただ、過去の死体発見場所で死体を見るというクリスティーの「スリーピング・マーダー」にも似た出だしですが、書かれた時期はクリスティが早くても公開はされていなかったので、別物と考えた方がよいのかな。でもこの手ではクリスティーの方が何枚も上手ということはよくわかった。なんせ昔の死体の話はその後なんにも関係しないので。それよりも、最後のどんでん返し的なネタがおもしろかった。なるほど、これはわかるべきだったけど法律的なほうに気がそらされてしまったぜ。
登場人物も元警部も奥さんも「ただひと突きの・・・」の時に出てきたらしいので、関係としては積んであるこちらから先に読むべきであったと大きく反省したのであった。
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