死を忘れるな

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久しぶりに積んであった中からスパークの「死を忘れるな」を読んだ。

ミュリエル・スパークはイギリスの女流作家だけど、なんか最近はほぼ絶版で絶滅しているのではないかと思う。こんなにおもしろいのに。。。つうか翻訳されていないものも含めて、全巻文庫化されていてもおかしくないような気がするんだけど。悲しいことです。

で、「死を忘れるな」は主要登場人物の平均年齢が最高記録なのでは、と思うのですが、驚異の英国ジジババ小説であります。誰からかわからない「死を忘れるな」という電話がかかってくることで始まる群像劇というか、人間の集団関係での揺れ動きがおもしろすぎる。老人たちがそれぞれ表裏のある人間で、思っている事とやっていることのずれが笑える。もちろん彼ら自身は自分のことを正当化して、自分に都合よく動いているわけだけれども、そのずれを短い明快な文章で描いていくことで、なんつうか黒い笑いが広がると同時に、結局老人だからというわけではなくて、人間の持つ救いようのない部分が見事に出てきて、そのうちに自分の笑い自体が苦いものになっていくのが味わい深いです。

しかし、スパークは本当にんでこんなにおもしろいのに、翻訳あんまりされないんだろう。この苦々しさの部分が、自分の嫌な部分を鏡で見せられるようで嫌われるのかな。でもつまらない新刊よりはよほど良い気がするけれど。。。売れないのかなあ。うーん、復刊、新刊、文庫化求む。

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このページは、なおきが2012年8月23日 20:19に書いたブログ記事です。

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