February 14, 2009

●顎十郎捕物帳

book-HisaoJuran-02.jpg京都にいる頃からほそぼそと久生十蘭の顎十郎捕物帳を読み返していた。 前に読んだときは創元推理文庫の久生十蘭集だったが、今回は朝日文庫で購入してあったものを読んだ。違いは・・・まったくわからんけど2回目でも何の問題もなく笑えた。つうか、少々歴史的なものも勉強したので、たとえば「稲荷の使」で稲荷が初午の日にお祭だったりという風俗的なものが、昔はまったくわかっていなかったのだが、今回はそうそう、とうなずきながら読めた。。。つうか十蘭の博覧強記ぶりはすごいですな。

捕物帳なので、すべてのヒントがそろっているわけではなく、そういう意味では一般的な意味では本格推理小説とはいえないのかもしれないが、私は小説としてのスピード感やユーモア、短編の落とし方も含めて私の「本格」だから良いのだ。戦前の作なんだよねえ。。。しかし阿古十郎の割り切り方というか執着の薄さがうらやましいなあ。こういう生き方をしてみたいもんだが、凡俗には無理というものであろう。だからこそ、よく考えるとだめだめなんだけど、そのあたりがかっこよくみえちゃうんだな。

で、朝日文庫としても品切れのようなので流通在庫でみつかるかどうか。。。まあ持ち歩くには本が良いのだが、幸い全24編が青空文庫に入っているので、興味のある方は読んでみてください。国書刊行会からの定本久生十蘭全集欲しいなあ。。。しかし一冊約1万円×11冊かあ。。。