●フランクフルトへの乗客
クリスティーのノンシリーズを読んでいる。「フランクフルトへの乗客」は初読であります。「20世紀少年」のはるか前にこんな作品ができているとは。
クリスティ女史の80歳を記念して書かれた作品で、スパイもの?ともとれますが、世界の現状への「怒り」が書かせているようで、なんだか頭が下がります。1970年作ということはそれから40年ちかくたっているんだが、先生すみません、人間はより悪い方向へ向かっています。馬鹿ばかりです。日本では本当にやっちゃいました。
というわけで、一応推理小説風にラスボスは誰かとか、オチみたいなエンディングもあるし、作者自身コミック・オペラと書いているけど、まあそんなことはどうでもよくて、操られることの愚かさと危なさに満ちていると思っている。 ストーリーは少々散漫だけれど、女史が言いたいことを書いたんだから、これはこれで良いのだと思う。