●高野聖・歌行燈
日本文学を読むのはずいぶんお久のような気がする。古典的なものを読んでいたのは主に高校の頃だから、きっと何もわからずに読んでいたのだ。もちろんその頃に読むことも重要な体験ではあるが、やはりそれだけでは足りないのだろうと思う。
で、泉鏡花を読みたくなって「高野聖・歌行燈」を読んだ。鏡花というと幻想文学で「高野聖」が面白いかと思ったが、いや、それはそれで面白いのだが、自分的には「歌行燈」がおもしろかったあたりが、昔と読み方が変わっているところであろう。「高野聖」も面白いがいわゆる普通の小説の形をしている。「歌行燈」は現代の小説の形から跳躍した展開と形式が面白い。
弥二さん喜多さん的な江戸黄表紙本の地口的な冗談みたいな話から、運命が絡み合う展開へどんどん加速していくのだ。しかも描写がまるで映像的。 最後は能の舞の中での交錯。。。うーん、能そのものかい。
というわけで、鏡花だけでなく、日本文学も読み直してみようかと思っている。