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November 28, 2004

●至福の超現実数

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クヌースさまといえば、情報工学界の生き神様でございまして、TeXや「The art of computer programming」「文芸的プログラミング」でよーけお世話になりましたが、そのクヌースさまが1974年に書いた数学小説が今ごろ改訳されました。好きものにはお奨め。原題が「Surreal Numbers」なのに邦題が「至福の超現実数」となっているところがかわいくて好きだ。うーん、至福なんだー。そうだよな、二人で世界を作り上げることだもんね。なんかイラストもはずしていそうで笑える。

柏書房のサイトでは『自分を見つけるために無人島へと旅立った恋人たちは、奇妙な岩と出会うことになる。どうやら「数がいかにして生まれ、数となるのか」が書かれているらしい……。コンピュータ・プログラミングの開祖が若き日に書いたRPG型数学入門書。』と紹介されていて、そのとおりなんだけど、数論的な体系の経験がないとちょっとついていくのは難しいかも。まあこんな恋人たちはそのうち「0で割る」と別れちゃうかもしれませんけど。

というわけで、この記述は感想ではなく紹介モードです。購入したばかりで、ちょっと読み始めたんだけど、最後までついていけるか不安。けっこう超現実数なんて忘れてるしなあ。まあもはや仕事とは関係ないし、メタフィクションの世界と準同型のような気もするから、幻想文学的数学論に頭の中で置き換える遊びでもしながらついていってみようかと。

最後のクヌースさまの解説がおもしろい。「平凡な」教授、助教授のために、講義での使い方まで指導してるし。しかも、「私見では、現行の数学教育には二つの弱点がある。創造的思考の訓練が足りないことと、専門的な文章を書く訓練が足りないことである」って1974年に書かれてるし。それから30年、私たちはその弱点をより強力に弱化させてきました。つうか普通の論理的な思考力もないし。

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