« ポートベロー通り | メイン | OSX Tiger »

May 20, 2005

●スパーク続き

スパークにはまったら即座に2冊も古本を購入。病気である。本当に風邪のようだ。

若島正氏の他の乱視読者シリーズは少しばかりナボコフ興味で買っていたのだが、「乱視読者の英米短篇講義」にミュリエル・スパークの項目もあるので、購入してそこだけでも読んでみたら出だしはナボコフだった。「透明な対象」の記述者は誰か、に関して本編解説よりはわかりやすく示されていて、先に読んでいて良かったというか、自分も的をはずしていなくてほっとしたという感じ。ただ、他の部分見ても、そこまで部分を読み込んでいいの?というのもちょっとあって、ナボコフの美しさはその部分と全体、あるいは3,4段階の各層での模様の現れ方を同時に楽しむことにあるのだから、説明とはいえあんまり細部ばかり書かれてもなあという気もする。もっとも私の中で「若島正」というのは、「恋唄」の若島正から逃れることはできず、ナボコフ伝道者というよりは自身がひとつの芸術的結晶体のようにしか思えないので、すでにフィルターのかかった見方かもしれない。

おっとスパークの話であった。「ポートベロー通り」「わが生涯の最初の年」「黒眼鏡」は読んでいるのでフムフムといった感じ。長編の「邪魔をしないで」は持っていないので古本頼みだなあ。「ポートベロー通り」はそうか、ナボコフの「透明な対象」と似ているといえばそういう設定もあるなあ。語り手があまりに皮肉っぽいところも似ているかも。「黒眼鏡」も主人公の少女に視点が行くところは自分もそう思った。スパークにかかるとジェンダーなんか関係なくてどちらもただのお馬鹿さんになってしまうところが快感である。ただ「わが生涯の最初の年」については確かに1歳未満のときの語り口ではあるけど、実際語っているタイミングは何歳かわかんないんだよね。それから笑うたびにということは少々時間が経っているとも言えるのだが。。。つうかこんな本を買っている時点でスパークにははまっているのであろうか?

コメントする