●空のオベリスト
帰省中に C.デイリー キングの「空のオベリスト」を読んだ。こちらはロード警部シリーズの第3弾らしいが、2作目である「鉄路のオベリスト」が手に入りそうにない。。。こちらは前回の豪華客船とは一転、航空旅客機を用いた事件で、クリスティの「大空をつかむ死」なんかを思い出すね。また形式もこっていて、エピローグからはじまり、最後のプロローグで締めるあたり凝っているノウ。前回のようにうじゃうじゃと心理学者もでてこないのでよかった。ちょっと納得いかない部分もあるけど、全体的にはおもしろかったといえよう。細かいことはタイトルも含め、「読後に」欄でしか書けんしなあ。
1作目の「海のオベリスト」も構成的にもトリッキーだけど、こちらのほうがトリッキーでそのぶん今の日本の新本格ですといわれると、なかなかすばらしいじゃないか、と思ってしまいそうな感じでした、が黄金時代の本格です、と言われるともうすこし雰囲気が欲しい。ちょっと欲張りすぎるかなと言う気がするけど、このあたりが米国と英国の違いかもしれぬ。
飛行旅客機がでてくるんだけど、けっこう最新のもの入れたりするあたり、全作トラベルミステリのはしりといってもよいのだろうか?(クリスティのオリエント急行あたりなのかな)話題を織り込みながらトリックというか作品の構成自体、航空機でないとなりたたなかったりするので、結構良かった気もする。ただ、その時代の旅客機のサイズや状態が頭にないと意味をなさないので、中に座席図などが出てくるとはいえ、最初に説明つけても良いんじゃないかな。なんかジェット飛行機のイメージでひとっとびじゃん、と思うと小説が成り立ちませんので。しかし探偵が恋に落ちるとろくなことがありませんなあ。
以下読後にお願いします。
だいたいタイトルの「空のオベリスト」の Fly High 自体、ダブルミーニングであるところがおもしろいね。最後まで行くとロード警部かわいそう。。。なんだけど、この後の作品にもでてるんだよなあ。ただ本当の犯人があの人だとするとのどを切り裂いたのはちょっとわからなかったり。気付かなかったと言うことなのかな。