●モスクワ妄想倶楽部
ブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」が面白すぎたんだけど、並列にミルチャ・エリアーデの「エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉」を読み始めていて、「令嬢クリスティナ」「蛇」を読み終わり、「 ホーニヒベルガー博士の秘密」を読んでいるが、うーん、終わらん。さすがに幻想小説全集は特盛クラスの分量です。
さてそうしているうちに、もうひとつのCPUでは並列に次の本を読むわけで、なんにしようか迷ったんだけど、ブルガーコフつながりで A&B ストルガツキーの「モスクワ妄想倶楽部」にしました。ロシアもの続けるのもどうかと思うんだけど、もうほとんどブルガーコフへのオマージュにあふれているので、いまじゃないと感動できない気もする。逆に言うとブルガーコフを先に読んでいてよかったなー(ストルガツキーの本のほうが先に積まれたわけで)。文壇というか作家連盟の家がおもしろすぎるなあ、小説に関するびっこな運命も心に残るなあ、でもタイトルは「びっこな運命」のほうが良かったなあ、というわけで星4つだけど、この本から読むことはまったく薦められない。少なくともストルガツキーに関しては何か他の作品から読んでいることが望ましいし、ブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」は読んでからのほうが良い。もう感動の仕方が違います。
A&B ストルガツキーはなぜかたくさん積んであるんだけど、このタイミングで「モスクワ妄想倶楽部」を手に取ったのは良かった。モスクワの街や社会やでてくる人々のぐたぐた感はやはり「巨匠とマルガリータ」の影響が大きいようにも思うし、食堂の話などやはり読んでいないと笑えない部分も多い。特に風呂町のアカデミーのなかとかで右往左往するのなんかブルガーコフの「悪魔物語」みたいだ。ブルガーコフはこれだけ発禁とかになりながらヴォランドに「原稿は燃えません」と言わせているのがすごすぎる気がするが、ここでは韜晦気味に「それでも燃えるんだよなあ」。でも本質的にはブルガーコフへのオマージュというか尊敬というか愛というか近親憎悪というか、ストルガツキーって本当にブルガーコフの直系の弟子みたいな感じなんだね。最後にその男が「ブルガーコフ」というのはやはり読んでいないとその味わいはわかりにくい。
小説自体は「小説判定機」みたいのがでてきて、そういうところはSFともいえるんだけど、全体としては幻想風味風刺的自伝とでもいう感じなのかな。発表後、他の作品である「みにくい白鳥」と交互の構成が最終案らしいので、やはり「みにくい白鳥」は続けて読もうと思う。うーん、ロシア続きじゃ。作中の「青ファイル」である「滅びの都」も読まなきゃなあ。。。
ただ、タイトルは販売戦略的なものか変更されているけど、「青ファイル」の運命など考えるとやはり「びっこな運命」がいいなあと思う。後から考えると味わい深い題名なんですよね。。。なんだか「運命」自体を引きずっている微妙な感じがでていて意味深いよね。