●愛が私に語ること
最近オーケストラ自らのレーベルが増えています。ロンドン交響楽団のLSO Live!シリーズやロイヤルフィルのSACDの廉価版シリーズ、コンセルトヘボウによるヤンソンスものなど、CDでの演奏はメジャーレーベルによる一大プロジェクトではなく、ヤンソンスが言うように、そのときの演奏の記録になっていっているのかも。
で、シカゴ交響楽団も自主レーベル「CSO RESOUND」を立ち上げます。記念すべきリリース第1弾はマーラーの交響曲第3番ハイティンクの首席指揮者就任ライヴ・・・ハイティンク苦手だったんですが。。。いや、これはよいです。どこがどうと言えない普通のところがハイティンクたる由縁ですが、遅めのテンポでもだれることなく全楽章すんばらしい。特に第6楽章「愛が私に語ること」がこんなにすばらしい音楽だったとは・・・不勉強でございました。
CSO RESOUND はオリジナルのWebページでも紹介されていてダウンロードや放送が聴けるんですよ。興味のある人は聴いてみてください。
前にも書いたことあるけど、ハイティンクって苦手というかなんか盛り上がらんなあと思っていたんですけど、いや申し訳ない、巨匠の巨匠たる由縁で、どこがすごい、はないけど全体としてのレベルは高い。遅めの第3番はシャイーなんかがあったけど、こちらはもっと遅くてもびしっとした感じ。特徴的なアーティキュレーションもないけどそれでいて耳が離せないのでございます。特にこの曲は第1楽章が盛り上がるだけ盛り上がっちゃうんで、後が難しいと思うのですが、後半の充実度がすごい。終楽章がすんごいなーと思ったのは初めてかもしれない。だいたいそれまで聴いているだけで疲れ果てるからね(この曲は100分である)。
ハイティンクはむかしむかしの最初のマーラーの頃やショスタコーヴィッチの録音で、うーん、レベルは高いんだろうけど、「ヒキ」がないなあという感じで、花がないというかどうも苦手で、LSO Live のブラームスでもはずしちゃったかなと思ってたんだけど、ブラームスは聴きなおすとそれほど悪くもなかった。ただ精神高揚的に聴けるかというとそういうわけでもないのね。でも今回のCSOのマーラーはいいね。逆にこんな一箇所だけ盛り上がっても持たないような曲のほうが全体をじりじりと盛り上げられて良いのかもしれない。シカゴの力もあると思うんだけど、終楽章最後の長い坂を上りきるような盛り上がり方は見事だった。
CSOもバレンボイムの頃はあんまり目立たなかった気がするけど、またこれで盛り上がるかな。まあまたシリーズが出たら買ってしまいそうな気分である。できればSACDで出して欲しいのだが。。。