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August 30, 2007

●チャパーエフと空虚

book-Pelevin-04.jpg下期はもう少し本を読みたいと思いながら、結局時間がかかってしまいました。ペレーヴィンの本を読むのは4冊目だけど、考えてみるとまともな長編はこれが最初かもしれない。でも「チャパーエフと空虚」 はおもしろいぞ。

そういえば 前にフロイドの心理学は20世紀最大のおもちゃかもしれんと書いたが、哲学は世紀を越えた究極のおもちゃのような気がしてきた(宗教もそれに近い気はするが)。そうだよな、学問とかというより人それぞれだから、いくら純粋知性とかいっても最近の街の人々見てると純粋痴性とか純粋稚性つう感じだし、まあそれぞれが自分はこんなんだよんというだけじゃなかろうか。

もちろんそういう部分だけがこの小説の中心ではなく(中心は空虚なのだ)、展開やストーリーというかつくりがうまい!また、この手のメタフィクションにはめずらしく最後がさわやかな感じだ。

思うにペレーヴィンの本では「眠れ」は短篇集だし、「虫の生活」は中篇というか連作短篇集だし、「恐怖の兜」は長編とはいってもあんな感じの構成だし、ペレーヴィンって本当に長編構成する力あるんやろか、と考えたりしたのだが、杞憂というか空が落ちてくることはなく、長編でもめちゃくちゃおもしろかったのであった。個々のアイディアをうまくねじこんで一本の空虚にしているので、長編のほうが向いているのかな。まあこれから先もペレーヴィンは追いかけるということである。

今回も全部消化できなかった感はあるが、出店で全部見切れなかったような感じなのでまた読みたくなる本ではある。もう少し哲学勉強してから出直してこようかな。人気もでた(といっても海外文学な読者なんてほんの少しかもしれんが)ペレーヴィンの他の本も翻訳されないかなあ。ついていきます。

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