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June 01, 2008

●湖畔・ハムレット

book-HisaoJuran-01.jpgもう5月も終わってしまう。。。のだが休出しています。本のほうはぼちぼちだなあ。

そういう中ですが、東京の部屋に積まれていた久生十蘭の「湖畔・ハムレット」を読んだ。うーん、十蘭おもしろすぎるー。前がキャロルだったんでよりうまさと苦さが目立つというか。さすが「小説の魔術師」、「愛と死の魔術師」よりは魔術師っぷりがよい。

読んだことのある「湖畔」「ハムレット」もよいが、時代物というか「鈴木主水」や「奥の海」がおもしろい。なんでこんな展開にいっちゃうの、というのが楽しめるようになったのかなあ。

久生十蘭は創元推理文庫の「日本探偵小説全集」での顎十郎捕物帳が好きだったのと、朝日文庫の「魔都」にやられた経験はあるんだけど、「十字街」とかつんだまま読んでないし、とてもジュウラニアンとはいえない状況である。

「湖畔」「ハムレット」はその「日本探偵小説全集」で読んだはずなのだが、あまり覚えていなかったのでだめだめな私なのだが、その代わりもう一度同じくらい楽しめるという利点もある。つうか今回はもっと楽しめたようである。特に「湖畔」のほうが「愛と死の魔術師」っぽい。もうなんか身もだえするぐらいおもしろい。「湖畔」については北村薫説があってなるほど、おばかな私は読めてなかったです。でも最近hyperionのロマンティック協奏曲を集めているような超軟弱ロマンチストである私としては、「二人」での解釈のほうがロマンティックが止まらないので好きだ。まあ文章だけからいうと北村薫説は否定できんのだけど、最後の放心の姿で終わるところから考えると違うんじゃないかとも思う。

「玉取物語」といい「鈴木主水」や「奥の海」など、なんか予定調和からちょっと外れた展開が楽しい。しかも出てくる女性が、なんかやはり一癖あって萌え萌えです。そのために人生が狂うというかそういう話の展開ではあるんだけど、主人公がそれはそれでありと思うあたりが存在の耐えられない軽さを感じて泣けちゃう。

他のも集めたくなったけど、なかなか手に入らないのかなあ。

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