●ワトスンの選択
私の最近の推理小説の好みはグラディス・ミッチェルとマイクル・イネスだったりするのだが、とても本格とはいえず、推理ともいいようがなく、どちらかというと英国風冗談嫌味ひねくれ小説といったところか。でも、私には「本格」だからよいのだ。といっても翻訳が少なくて「読んだー」といえるほども読んでいないないのだが、最近翻訳が増えてきたのでうれしい。というわけで、グラディス・ミッチェルの「ワトスンの選択」を読んだ。
あいかわらずのぐだぐだぶりで、でてくるやつも変なやつばかりなのだが、なんかはずしていておもしろい。シャーロック・ホームズの登場人物に仮装してしてのパーティなど、シャーロキアンだともっと楽しめるんだろうけど、おいらはあいにくそんなに読んでないし。。。だめだめ読者だな。
で、「ワトスンの選択」ではシャーロキアンなパーティから始まって犬(魔犬?)が飛び込んできたかと思うと、女性が行方不明になって、殺した夢を見たという男性がいて、でも死んでいなくて、でも誘拐されていたとかで、、、と変人集合に加えてわけのわからん展開が続きます。そこに馬鹿笑いできるかどうかが、この本を読んでよいかどうかの境目であります。私は馬鹿笑いするほうなんですね。いっておきますが、最後に犯人がわかっても、じゃ、あのパーティのあれはなんだったの?とか頭の中には???が並ぶので、まあ本格推理小説とはいいがたいから冗談小説として読んで下さい。
また、翻訳の順番もあって60冊以上でているシリーズなので、今回の翻訳は前のものから間が開いているせいか、秘書のローラとかちょっと設定が親しみにくい部分もあり、ライトノベル的な感覚でいうとこういうのは順番に読みたいなあという部分がちょっとマイナスなんですが。しかもブラッドリー夫人も初期から見るとずいぶん丸くなっているようにみえる。。。
そういえばTVドラマとして「ブラッドリー夫人の推理」という題で5話ほど作られている。が、ちょっと違うんだよなあ。やっぱりもともとの毒が好きなわけで、モンティ・パイソン製作でないと、という感じなのだ。ドラマのほうはブラッドリー夫人のスクリプトは元にしているんだろうけど、でもグラディス・ミッチェルがグラディス・ミッチェルである所以はやはりトリックとか犯人は誰かとは違うところにあるわけで、そのあたりが推理ドラマにしてもおもしろいクリスティとは違うなあ。