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February 07, 2004

●3つの Pavane

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キース・ロバーツの「パヴァーヌ」を読み終わりました。というわけで、日々是音楽のほうも、とってつけたように「パヴァーヌ」を2曲公開しておきます。クラシック曲として有名なのはフォーレやラヴェルのものでしょうが、やはりこの本であれば、イギリス、エリザベス1世時代のリュート曲でなければなるまいて。

かつて、サンリオSF文庫で出版後2~3ヶ月でサンリオSF文庫自体が絶版。長らく幻の傑作SFという名前ばかりが残り、内容よりも文庫の古本での値段で話題になったりでしたが、2000年に扶桑社から復刊されました。勢い込んで買ったまま今まで積んでおくな、と自分に言いたい。で、今年になって読み始めました。

内容はあちらこちらに書かれているように、エリザベス1世が暗殺され、教会が権力をにぎり、中世ほとんどそのままの形で迎えた20世紀、という物語。その世界の中で生きる人々と、体制への疑問、反乱という流れを中篇連作小説の形式で、「古き人々」といったファンタジー的な情感も交えて表現します。

SFとしては傑作、、、だが、一般の小説としては、そこまでの傑作かはちょっと疑問。もちろん内容や余韻も良いのですが、ストレンジ一族のつながりや意識は希薄だし、一番書けている第2旋律の「信号手」が、世界背景の提示にはなっても大枠の流れの中にはあまり関係ない、など。最後に教会が技術を短期間に公開しちゃうのも不満だし、「古の人々」は結局何したかったのか(ハンコ押したかったの?詩的な雰囲気だけ?)不明。読めていないだけなのかなあと、結構自己嫌悪です。個人的には、ストレンジ血族以外の挿話はもう少し短い Interlude にしたほうが、よほどまとまりがよさそう。

自分の中でSFと小説をある程度区分していることに気付いて驚きました。なのでSFとしては傑作なんだけど。。。という気になっちゃう。もちろん高いレベルでの話ですけど。いや復刊してくれてとてもありがたいんですけど。この本もそろそろまた品切れで歴史の闇に。。。

で、曲としては有名な Dowland から「涙のパヴァーヌ」(Lacrime Pavan)として有名なものと、Ferrabosco による「パヴァーヌ」を作ってみました。同時にやってみるとやはりダウンランドのほうが盛り上げるための芸が細かいことがよくわかります。が、Ferrabosco も簡素ではあるがそれはそれでよろしいかも。音色はファンタジアと同様ですが、PlugSoundは、じわじわと私的好感度アップで使用頻度を上げているような感じです。

さて、この流れで本にからませて曲を入れるのは大変なので2度とないでしょう。その意味で言うとカルペンティエールの「追跡」ではベートーヴェンの「英雄」が必要でしたからね。「春の祭典」なんか読んだ日には。。。もしあるとすれば、次はS.ピーグルの「風のガリアルド」あたりか?

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